星に願いを、そして手を。

話題になっててずっと読みたかった本。作者16歳。

 

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『星に願いを、そして手を。』青羽悠

 

中学三年生の夏休み。宿題が終わっていない祐人は、幼馴染の薫、理奈、春樹とともに、町の科学館のプラネタリウムに併設された図書室で、毎年恒例の勉強会をおこなっていた。そんな彼らを館長はにこやかに迎え入れ、星の話、宇宙の話を楽しそうに語ってくれた。小学校からずっと一緒の彼らを繋いでいたのは、宇宙への強い好奇心だった。宇宙の話をするときはいつでも夢にあふれ、四人でいれば最強だと信じて疑わなかった。時が経ち、大人になるまでは――。
祐人は昔思い描いていた夢を諦め、東京の大学を卒業後、故郷に帰り、公務員となった。そんな祐人を許せない理奈は、夢にしがみつくように大学院に進み、迷いながらも宇宙の研究を続けている。薫は科学館に勤め、春樹は実家の電気店を継いだ。それぞれ別の道を歩いていた彼らが、館長の死をきっかけに再び集まることになる――。(amazonより)

 

 

文章読み始めると頭に入ってくるスピードがめっちゃ速くて5分後くらいには「これ多分面白い」って予感させてくれる。

16歳で20代や老人の描写や経験してない事柄(大学の風景とか職場とか)を表現するのってどんな気分なのか、想像力と調査力が尋常じゃないのか。それ言ったら普段読んでる人のも当たり前にそうなのかもしれないけど。

全体的に青臭い、青春ごっこ、年齢ごとの描写が曖昧なのかもって思うけど、それこそ作者の策略というかそう思わせることが目的なのかもと思いまんまとハマってしまった。

登場人物たちが「そこまで夢に振り回されるか?」と感じる部分があるけど、そう思うのも今特に追いかけている夢とかもないからで現在夢を追ってない人にはいい意味で少し嫌悪感や拒否感が出るかもしれない。

結局は夢破れた人も諦めた人も追いかけ続けてる人にも面白い小説だと。これで16歳って怪物。

読み終えた後だとタイトルがより一層印象的。

 

 

星に願いを、そして手を。

星に願いを、そして手を。

 

 

これは経費で落ちません!

読書スピードが上がりに上がって、ブログ全く書いてなかった。。

 

今日から。

 

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『これは経費で落ちません!経理部の森若さん』青木祐子

 

〜森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。
最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができてしまい、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ち込んだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる?〜(amazonより)

 

ブクログとかで注目されてて気になってたやつ。

読む前はなんとなく堅物の経理女子社員の奮闘劇なのかなと思ったら、かなりドライな性格の地味だけど一目置かれてる社員がトラブルを影で丸く収めたり解決していく話だった。

主人公が言う「フェアではなくイーブン」って言葉が、社会人としてはしっくりくるところがある。ちょいちょい挟まる主人公の心の中の容赦ない批判があまりにもナチュラルに書かれてて癖になる。

サクサクと読めて社会人4年目以上30歳未満くらいの人にオススメ。

 

 

 

 

キネマの神様

ニューシネマパラダイスを観るきっかけにもなったかなりのオススメ。

 

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『キネマの神様』 原田マハ

 

だいたい月に5〜10冊から本読んでて、難しいことは考えずに話題作や自分が好きな作者を中心に読んでるだけなんだけど、ふと本屋で平積みされててあらすじ読んでみたら、「映画の話っていいなー」「自分が好きなことの話っていいなー」くらいな感じで買ってみたら、本当に出会って良かったと心の底から思った。読み終わってからも高揚感が収まらなかった。

 

あらすじと書いたり詳しく説明するのは面倒なんでしませんが、40手前の女性主人公が公私ともに問題にぶち当たり、零細映画雑誌企業で奮闘して、奇跡が起きる的なやつです。中年奮闘記的な話が大好物な自分としてはドンズバでした。

 

色んな映画の描写が出てくるんだけど、登場人物・作者の映画への愛情が溢れていて見たくな作品が多々。

主人公のダメ親父と謎のブロガー「ローズバッド」がブログ上で映画評論を交えるところは、どちらも映画へのもの凄く色んな角度からの解釈をしてて、自分の想いを滲ませたり過去を投影したり、そしてそれを相手も読み取っていて、意見を戦わせているけど、お互いに相手の一番の理解者になってきて、もちろん映画が主軸の話なんだけど結局は友情がテーマなんじゃないかと思いました。

 

そして中盤以降の奇跡が起こり始める展開はニヤけながら読んでしまいました。終盤のお互いへの投稿(語りかけ)は何年ぶりかに読書して涙が溜まりました。読み終わった後に今日何か観ようと思えるはず。(自分は満足しすぎて何も見たくなくなったけど)

 

どんどん没頭してハイスピードで読んでいるつもりなんだけど細部までしっかり読むから想像以上に読むのが遅くなる不思議な読み応えでした。

 

 

 

キネマの神様 (文春文庫)

キネマの神様 (文春文庫)

 

 

ニューシネマパラダイス

クラシックやっと観た。

 

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ニューシネマパラダイス

 

今更すぎて恥ずかしくてあらすじとかはいいでしょう。

 

小説『キネマの神様』で主人公の父が敬愛し聖書のように扱う一本がこれで、かなり興味持ってた。

 

観る前は全体的に「映画は素晴らしい!」的な水野晴郎的なメッセージなのかなと思ったら、それよりも主人公トトの幼年期から壮年期までの成長の物語だった。

 

いい悪いではなく、決めつけに過ぎないかもしれないけど昔の映画って今の映画に比べると技術的に表現的にも「説明しすぎない」感じがして、いろんなことを考えながら観れる。

 

アルフレードが自分たちの街にいてはいけないと言ったり、「おまえと話はしない、おまえの噂が聞きたい」と言ったり、ラストの方にトトのお母さんが「この街には亡霊しかない」てきなことを言ってるのが、個人てきには年代的にも状況的にも刺さるものがありました。

 

ラストのアルフレードの形見は本当に予想がつかなくて、わかった時に笑顔になったし、今まで厳しさを持って真摯にトトに向き合ってきたアルフレードの最後の目一杯の愛情を感じました。

 

完全版?も観てみたい。

 

 

 

 

 

クーパー家の晩餐会

お気楽映画が観たかった時に。

 

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『クーパー家の晩餐会』

 

ラブ・アクチュアリー』や『ニューイヤーズ・ラブ』みたいな全部繋がっていく系かなと思ったらそもそも繋がっている家族のそれぞれの事情を描いてクリスマスの晩餐会に集約していく系だった。

 

一人一人の話も面白いし、出てくる女優可愛すぎだし(オリヴィア・ワイルドアマンダ・サイフリッド)、最後の救急搬送からのカフェテリアでのダンスタイムはすごく良くまとめられてた。(アメリカの家族おおっぴらにキス見せつけすぎやしないかとも思ったけど)

 

共和党民主党での考え方の違いや、宗教の違いをそのままジョークにできるのはやっぱ日本と違うなと。

 

警官役の人の「一番高級なプレゼントを渡せ」的なセリフに痺れた。

 

 

 

クーパー家の晩餐会 [DVD]

クーパー家の晩餐会 [DVD]

 

 

 

 

 

 

奇跡の人

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『奇跡の人』原田マハ

 

大好きな作家さんのヘレンケラーとアンサリヴァンをモデル・オマージュした明治時代の青森での話。

 

『キネマの神様』は最後にまとめて感動押し寄せたけど、これは先生の生徒をひたする信じ抜く姿勢と生徒の原始的?人間的?なかわいさに度々感動してしまった。

 

元ネタはあまり知らないけどうまく当時の日本の閉鎖的な文化と、キリスト教的価値観・考え方をうまく混ぜていると思う。

 

読んでる途中では先生と生徒どっちが「奇跡の人」なのかなと考えてたけど、どっちもそうなんだなと読み終わった時の爽快感。

 

終わり方も綺麗だし、元ネタしっかり調べたくなった。第三主人公的なあの人もモデルいるのかなー調べよう。

 

 

 

奇跡の人 The Miracle Worker

奇跡の人 The Miracle Worker

 

 

追憶の夜想曲(ノクターン)

一回目。

 

今年読み漁ってるこの人の「御子柴礼司」シリーズ。

 

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『追憶の夜想曲ノクターン)』中山七里

 

このシリーズ、気づけば最新作を最初に読んでしまったので、逆行してる感じ。

 

そのせいか、『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』より、主人公・御子柴礼司が人間臭く感じた。また、岬洋介シリーズで出てくる岬検事に関しても、思ってたより血が通ってる人物なんだなと。「法」と「音楽」、どっちから推理・救済をしていくかの違いかもしれないけど。

 

中山七里作品に慣れたこともあり、「このあと、多分こうだろうな」と予測してたら、全然違った方向に転がってって、更に一回転してやっぱりそうだった感じで、読んでで終盤小気味いい。オーラスの方になるまで最初の描写完全に忘れてた。

 

このままシリーズ制覇する。

 

 

 

 

追憶の夜想曲 (講談社文庫)

追憶の夜想曲 (講談社文庫)