首折り男のための協奏曲

これもさくさく読めた。

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『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎

 

首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。(amazonより)

 

作者がバラバラに作った作品を修正して一つの流れを作ったと言っているだけに、それぞれのギミックというか仕掛けがめっちゃ面白い。特に逆再生の話と水兵リーベの話。時空の歪み的な話もワクワク半端ない。

強い繋がりやテーマがない分、ストーリーがどこで誰で起伏を迎えて収束するのか、なかなか予想がつかないので、どんどんページめくるスピードが加速する。

「首折り男」の善悪についての追求がないのも良い。

ただこの人が書く登場人物って、その話自体では個性強いんだけど、どの話でも同じような思考というか屁理屈言う人がいてダブる。面白いからいいんだけど。

 

今年になって読まず嫌いだった伊坂幸太郎読み始めたけど、かなり好きだ。

 

 

首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)

首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)

 

 

タンジェリン

TSUTAYAでパッと見で惹かれてレンタル。

 

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『タンジェリン』

 

ロサンゼルスの街で暮らすマイノリティの人々の日常を、iPhone5Sにアナモレンズを装着して撮影した映像でリアルに切り取ったコメディドラマ。クリスマスイブのロサンゼルス。トランスジェンダーの娼婦シン・ディは恋人が浮気していることを知って怒り狂い、浮気相手を見つけ出して懲らしめるべく奔走する。シン・ディの親友で歌手志望のアレクサンドラは、カフェでのライブを目前に控えていた。一方、アルメニア移民のタクシー運転手ラズミックは、自らの変態的な欲望を満たそうとしていて……。監督・脚本は「チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密」のショーン・ベイカー。2015年・第28回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映された。(映画.comより)

 

「こんな世界あるんだ!」っていう感じで新しいこと知れた感じ。なんとなく『かさみ様なんかくそくらえ』に空気感似てた。

「ゲイ」っていうのは外国でもイメージがついてたけど、日本で言うところの語弊があると思うけど女装をしている人たちがいるってことが意識してなくて新鮮だった。

タクシードライバーが買っといて自分から咥えるってのがいろんな人がいるなと。洗車のシーンは革新的すぎた。

iPhoneのみで撮影ってところに無限の可能性を感じた。

最後はもうちょいドタバタの収束を見たかった。

 

 

タンジェリン [DVD]

タンジェリン [DVD]

 

 

ポイズンドーター・ホーリーマザー

久しぶりの湊かなえ

 

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『ポイズンドーター・ホーリーマザー』湊かなえ

 

湊かなえ原点回帰! 人の心の裏の裏まで描き出す極上のイヤミス6編!!
私はあなたの奴隷じゃない! 母と娘。姉と妹。男と女--。ままならない関係、鮮やかな反転、そしてまさかの結末。あなたのまわりにもきっといる、愛しい愚か者たちが織りなすミステリー。さまざまに感情を揺さぶられる圧巻の傑作集!!(amazonより)

 

あらすじにあるように、とにかく針でじわじわ背中刺されるような関係の短編集。

湊かなえ好きだし、「イヤミス」の読後感も好きだけど、今作はあからさまにそこを表現しすぎているような気も。それか売り文句や帯が、どの本でもそこを推すから食傷気味になってるかも。

 

特に「毒親(娘)」の二編は本当にこんな関係存在するの?っても思ったけど周りの世界にいないだけでいるんだろうなーと。「どこまで注意・強制すると毒親となってしまうのか」っていう線引きの話は興味深かった。

 

ポイズンドーター・ホーリーマザー

ポイズンドーター・ホーリーマザー

 

 

 

 

アイネクライネナハトムジーク

最近文庫版発売されたやつ図書館で借りてきた。

 

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アイネクライネナハトムジーク伊坂幸太郎

 

 

 ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。
奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、
他力本願で恋をしようとする青年、
元いじめっこへの復讐を企てるOL……。
情けないけど、愛おしい。
そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ! !
伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエンタテイメント小説!(amazonより)

 

伊坂幸太郎の連作短編集のいいところは繋がりや登場人物の相関関係を全て覚えなくてもゆるく楽しめるところだと思う。

気づかない時に忘れた頃に「あいつ出てきた!」ってなってテンションが上がる。

特に最終章のラウンドボーイのシーンは胸が熱くなった。

 

あと独り身の身としてはp21の出会いについてのドラえもんの比喩が響きすぎて辛い。。

 

織田みたいなこの作者の屁理屈のような理論を貫き通す憎めないキャラが好き。

 

 

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
 

 

 

本を守ろうとする猫の話

マイマスター夏川草介の新作。

 

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『本を守ろうとする猫の話』夏川草介

 

お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。夏木書店を営む祖父と二人暮らしをしてきた。生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。面識のなかった伯母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。
痛烈痛快! センス・オブ・ワンダーに満ちた夏川版『銀河鉄道の夜』!(amazonより)

 

この人の『神様のカルテ』は人生ベストに入るくらい好きだけど良くも悪くもそのシリーズだけなのかなと思ってたら思いっきり覆された。


神様のカルテで書かれてた『本を読む意味』を更に丁寧に深く書かれてて各章が読書する人にとっては他人事ではないテーマで、そしてその理想に対して最後に現実突きつけて、でもその現実に屈しない理想を表明する的なめちゃくちゃいい展開だった。ただあの本の擬人化が女性ってのが意外だった。

これもずっと本棚に入れてまた読み返したい。

読書好きな人にはかなり読んで欲しい作品。 「本には大きな力がある。けれどもそれは、あくまで本の力であって、お前の力ではない。」 

 

 

本を守ろうとする猫の話

本を守ろうとする猫の話

 

 

銀魂

原作大好き。

 

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銀魂』(実写版)

 

漫画実写化に付き物の原作との乖離については、原作者と監督・出演者の執拗な自虐やPRによりあまり怖がらず。

 

小栗旬が歌ってる「パッション」が噂になってたけど、くだらなすぎて冒頭から笑った。

 

原作の再現度・原作への忠実度については、

 

かなり高い…と言うか近年に稀に見るレベルだと。

 

小栗旬?とも思ってたけど話し方や目つきも近かったし、てか黒目がかった感じが書紀のタッチにそっくりだった。

菜々緒また子もいい感じにセクシー感半減されてて、場末のお水感的がよく出てた。

その他のキャストもマジで合ってた安田顕半端ない。

 

内容も原作のギャグシーン・シリアスシーン、オリジナルなギャグシーンとかなり楽しめた。ただ登場人物もストーリーもてんこ盛りなので、シリアスシーンが続くと展開知ってるだけに個人的に中だるみした。(原作も常に張ってるというよりあんな感じだし)

オリジナルの笑いに関しては、佐藤二朗が尊敬するレベルで良かった。菜々緒が「使わないって言ったのに使われた!」と言ってた場面もあれは納得。

 

二時間ではもったいないクオリティなので、というか視野に入れてるんだろうけど、続編見たくなる。

 

夏休みのくだらないアニメとしてオススメです。橋本神楽の振り切れっぷりはこれでしか観れない。

 


映画『銀魂』予告2【HD】2017年7月14日(金)公開

 

星に願いを、そして手を。

話題になっててずっと読みたかった本。作者16歳。

 

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『星に願いを、そして手を。』青羽悠

 

中学三年生の夏休み。宿題が終わっていない祐人は、幼馴染の薫、理奈、春樹とともに、町の科学館のプラネタリウムに併設された図書室で、毎年恒例の勉強会をおこなっていた。そんな彼らを館長はにこやかに迎え入れ、星の話、宇宙の話を楽しそうに語ってくれた。小学校からずっと一緒の彼らを繋いでいたのは、宇宙への強い好奇心だった。宇宙の話をするときはいつでも夢にあふれ、四人でいれば最強だと信じて疑わなかった。時が経ち、大人になるまでは――。
祐人は昔思い描いていた夢を諦め、東京の大学を卒業後、故郷に帰り、公務員となった。そんな祐人を許せない理奈は、夢にしがみつくように大学院に進み、迷いながらも宇宙の研究を続けている。薫は科学館に勤め、春樹は実家の電気店を継いだ。それぞれ別の道を歩いていた彼らが、館長の死をきっかけに再び集まることになる――。(amazonより)

 

 

文章読み始めると頭に入ってくるスピードがめっちゃ速くて5分後くらいには「これ多分面白い」って予感させてくれる。

16歳で20代や老人の描写や経験してない事柄(大学の風景とか職場とか)を表現するのってどんな気分なのか、想像力と調査力が尋常じゃないのか。それ言ったら普段読んでる人のも当たり前にそうなのかもしれないけど。

全体的に青臭い、青春ごっこ、年齢ごとの描写が曖昧なのかもって思うけど、それこそ作者の策略というかそう思わせることが目的なのかもと思いまんまとハマってしまった。

登場人物たちが「そこまで夢に振り回されるか?」と感じる部分があるけど、そう思うのも今特に追いかけている夢とかもないからで現在夢を追ってない人にはいい意味で少し嫌悪感や拒否感が出るかもしれない。

結局は夢破れた人も諦めた人も追いかけ続けてる人にも面白い小説だと。これで16歳って怪物。

読み終えた後だとタイトルがより一層印象的。

 

 

星に願いを、そして手を。

星に願いを、そして手を。