大好き誉田哲也の大好きシェアハウスものと知って。
『プラージュ』誉田哲也
仕事も恋愛も上手くいかない冴えないサラリーマンの貴生。気晴らしに出掛けた店で、勧められるままに覚醒剤を使用し、逮捕される。仕事も友達も住む場所も一瞬にして失った貴生が見つけたのは、「家賃5万円、掃除交代制、仕切りはカーテンのみ、ただし美味しい食事付き」のシェアハウスだった。だが、住人達はなんだか訳ありばかりのようで…。(amazonより)
作者の魅力である暴力性や過激さ、住人同士の裏切りを期待して読むと、若干物足りなさが残るけど、そこではなくて、罪や過ちを犯した後にどうやって生きていくか、社会に受け入れてもらえるかという部分が面白かった。
主人公は物凄く重い罪があるわけではなく、前科の内容もそこそこ、能力や人柄も平凡、火事場の馬鹿力的な魅力も特にない、という小物感。でもそこが、服役後の更生・生き方という必ずしも劇的なことがあるわけでない、ジワジワ真綿で首を締められるような生活をより際立たせていると思う。通彦のフラッシュバック具合はさすがにやりすぎじゃ?と思ったけども。
罪を犯した人の立場、疑われた人の立場、人として備えた方が良いとされる資質・感情を身につけていく立場、登場人物たちの社会との様々な「狭間・境界=海辺」がうまく表現されている。
他の住人はあまりイメージないけど星野源と石田ゆり子はピッタリだと思う。ドラマ観てみよう。