『疾風ガール』誉田哲也

誉田哲也勢いそのままに。

 

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『疾風ガール』誉田哲也

柏木夏美19歳。ロックバンド「ペルソナ・パラノイア」のギタリスト。男の目を釘付けにするルックスと天才的なギターの腕前の持ち主。いよいよメジャーデビューもという矢先、敬愛するボーカルの城戸薫が自殺してしまう。体には不審な傷。しかも、彼の名前は偽名だった。夏美は、薫の真実の貌を探す旅へと走り出す―。ロック&ガーリーな青春小説。(amazonより)

 

誉田哲也の暴力性と双璧を成すと勝手に思っている女子青春モノ。

 

最初は読みやすいけど、結構軽い感じだなーと思ったら、ボーカルの薫が自殺してからどんどん重さ増してった。

苦悩する持たざる者について、持つ者はどう理解するべきなのか、責任はどう取るのか。終盤の方の塔子のマンションでの、薫の葛藤や挫折が楽曲作成の過程?を通して判明していく感じが好き。

 

薫のビジュアル系よりの歌詞はあまり響かなかったけど、最後の夏美が作った曲の歌詞はすごく良かった。

 

ラストのリハ前に夏美が宮原に話す「音楽ってそういうもんでしょ。聴いたってお腹は一杯にならないし、寒さだってしのげない。でも、気持ちをさらけ出したり、汲み取ったりすることはできる。」って言葉が、震災後に好きなバンドたちが言ってた言葉と同じで、震災より昔の話だけど、ロックの姿勢は昔から変わらないのかなと。

 

こういうガールミーツワールド的な話を読むと、若い主人公より振り回される三十路以降の大人に共感するようになってきたのは、良くも悪くも年取ったなと感じる。

 

他のシリーズもあるっぽいから読んでみよう。

 

 

疾風ガール (光文社文庫)

疾風ガール (光文社文庫)