『殺人出産』村田沙耶香

自然に異次元で常識疑い始める。

f:id:sunmontoc:20170827214219j:plain

『殺人出産』村田沙耶香

祝!芥川賞受賞
村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ!
10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。(amazonより)

 

内容以前に、こういう発想に至る作者に恐怖すら感じる。前テレビで見たときも、すごい優しそうな顔してるのに行動とか言動がさらっとぶっ飛んでるなと思ってたけど。

衝撃の展開とかではなく、自然に移行したかのように新しい常識の世界がを描いているからのめり込みやすいんだけど寒気する。

表題作の「産刑」制度は逆手に取った感じで、倫理観崩壊するし、何を善として世界が動いているのかわからなくなる。

『トリプル』はタイトルからはパッと見「?」って感じなだけど、「あっそういうこと…」ってなる。しかも3Pや同性愛ともまた違う生理行動?生理本能?がそこにはあって「マウス」っていうスタイルには、もはや開いた口が塞がらなかった。

 

コンビニ人間』よりもこっちの方が作者らしいのかなと思った。新しい世界観が楽しいし、既存の価値観もどうなるかわからないよなって気づかされるし、読んでて楽しい。グロともエロとも違う薄気味悪さが癖になる。

 

 

殺人出産 (講談社文庫)

殺人出産 (講談社文庫)