『翼がなくても』中山七里

まずタイトルが良い。

 

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『翼がなくても』中山七里

陸上200m走でオリンピックを狙う沙良を悲劇が襲った。
交通事故に巻きこまれ、左足を切断、しかも加害者は幼馴染みの泰輔だった。
アスリート生命を絶たれた沙良は恨みを募らせる。そんな泰輔が殺害され、高額な保険金が支払われた。
犯人は誰なのか? また、絶望の底から再起を図る沙良の運命は?
どんでん返しの先に感涙のラストが待つ傑作長編ミステリー!(amazonより)

 

最近の中山七里面白いけどちょっと物足りない感が払拭された。

 

「岬洋介」シリーズと「犬養刑事」シリーズと「御子柴礼司」シリーズのいいとこ全部ぶっこんだようなストーリー。やっぱりこの人の書くある世界・分野に狂気を感じさせるレベルでのめり込んでる人の話は面白い。

 

ミステリーなんだけど大部分は陸上競技の話で、スポーツモノとしてもめちゃくちゃ読み応えある。当たり前の話ではあるんだけど、障害者スポーツにもここまで刹那性というか我が身を破壊する覚悟を持って望んでいるんだってことと、スポンサー・資金調達面の困難さが一般競技よりも多いんだなっていうのが、フィクションながら勉強になった。

 

良くも悪くも御子柴礼司が登場する作品を読むたびに、彼の人間らしさがどんどん出てくるようになって好感持てる反面、クソみたいに冷徹であって欲しいなとの気持ちも。

 

泰輔についての描写をもっと読みたかったけど、最終的にはあの左足が泰輔の想いというか自身そのものになったのかのとも。

 

タイトルを見たときになぜかMCニガリがTKda黒ぶち戦で言った「折れた翼でも飛べる」っていう言葉を思い出した。

 

 

翼がなくても

翼がなくても