『残り全部バケーション』伊坂幸太郎
タイトルが秀逸。
『残り全部バケーション』伊坂幸太郎
当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。(Amazonより)
期待以上に面白かった。
エッセイ『3652』に、このタイトルのエピソードが載っていたけど、文中でのインパクトあるというか印象的だった。いい言葉。
篇ごとのストーリーは 軽快に読めて、読み口は滑らかなんだけど、伊坂幸太郎の他の作品と比べても、心に残る言葉が多々ある。
「自分探し?探さないですよ。俺、ここにいますから」(p23)とか、(現代の風潮へのカウンターパンチ的な)
「手作りパンの焼き具合を説明するかのように」(p56)とか、(秀逸すぎる比喩)
特に、「二分しか変わらないとか言ってもな、俺なら飛ぶぜ。飛べたらやっぱり嬉しいだろうが」とか。こういう風に行動できる大人になりたいと思った。
だけど、2篇目のオチのセリフが理解できなかった。。大事な部分読み飛ばしたのかな?
最初の篇で岡田が死んだもしくは生死不明の雰囲気漂わせておいて、最後の篇でそれを再び蘇らせて、だけど最後まで真相はわからないっていう流れがニクすぎる。大ラスの最後の一文が洒落が効いててニヤけてしまう。
伊坂幸太郎作品の中でも、かなりオススメです。