『愚行録』貫井徳郎

映画が面白かったので。

 

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『愚行録』貫井徳郎

ええ、はい。あの事件のことでしょ?―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第三の衝撃。(Amazonより)

 

実写で感じていたことではあるけれども、取材相手(証言者)の話は、言い訳のオンパレードで、自己防衛をし、被害者や関係者のことを都合の良いように解釈したり、理想化したりしている。

また、エピソードの事実だけを客観的に追っていくと、明らかに被害者夫婦が悪いように思えるのに、誰もはっきりとした貶しや非難をせず、逆に擁護しているのが薄気味悪い。

映像とは違い、文章でストーリーを追っていくと、主人公(お兄ちゃん)の主張や存在感がほぼなく、取材相手が独白しているような形式で、こっちがどんどん捲し立てられて、みんなどこか狂っているような印象を受けた。

取材と面会の場面切り替えが、映像より明確で、妹については冒頭はまあ実写の印象と変わらないかなと思ったんだけど、ラストに向かうにつれて、妹の言葉遣いが荒くなってきて、壊れ具合がより顕著になっていき、その上で夏原さんと仲良くなる目的を知ると恐ろしくなった。

お兄ちゃんが宮村さんを殺す描写が実写よりも原作の表現の方が淡々としている分、不気味で好みだった。

知っていても、ラストの衝撃は大きく、貫井徳郎のファンに一発でさせてくれました。

 

 

愚行録

愚行録

 
愚行録 (創元推理文庫)

愚行録 (創元推理文庫)

 

 

 

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