『無理』奥田英朗

父親に薦められて上下巻一気読み。

 

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『無理』奥田英朗

合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則―弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵―東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也―暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子―スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一―もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。(Amazonより)

 

まず、東北地方だと思われる雪国の人口12万人程度の寂れた合併都市っていうのが、自分自身にリンクしすぎている。

ストーリー的にはわが街でくすぶっているもしくは街に絶望している5人のエピソードが徐々に交差していくんだけど、とにかくそれぞれのエピソードが濃厚でハマっていく。世代ごとの状況や心象描写の書分けも良い。ただ福祉業界の経験があるものとしては、生活保護の取り扱い方に「?」な部分もある。場所や時代が違えばそれが正しいのかもしれないけど。

ラストまでは本当に5人それぞれの展開がめちゃくちゃ面白くてのめり込むんだけど、最後の収束の仕方が、「え?これで終わりなの?」と風呂敷広げた割には物足りなさというか無理やり感も否めない。それぞれの話をもっと読みたい。

でも、地方に生きる身としては、周囲も空さえも閉塞的な状況には、共感する部分が多々あって、読んでて嫌になりながらも面白かった。

 

この人の作品ももっと読もう。

 

 

無理〈上〉 (文春文庫)

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無理〈下〉 (文春文庫)

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