『95』早見和真

マジでこの作者ハズレないな…。

 

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『95』早見和真

1995年、渋谷。平凡な高校生だった秋久は、縁のなかった4人の同級生から突然カフェに呼ばれ、強制的にグループへ仲間入りされられる。他校生との対立、ミステリアスな女の子との出会い…秋久の経験したことのない刺激的な毎日が待っていた。だがある日、リーダー的存在だった翔が何者かに襲撃されてしまう。秋久は真犯人を捜すため立ち上がった―。激動の時代を駆け抜けた少年たちの心の叫びがほとばしる、熱烈青春ストーリー。(Amazonより)

 

三十路が目前に迫ってきて、中年が青春時代を振り返ったり、青春時代の清算をする話に心打たれる。

時代背景的に、『ドルフィン・ソングを救え』や『ボクたちはみんな大人になれなかった』にどこか似ていた。

思春期に信じていたことを振り返ると、どうしようもなくダサいし恥ずかしいんだけど、そのダサかったことに対してもがむしゃらに向き合っていて、青臭いかっこよさがある。

あとやっぱりここ数年小説を読んでいて痛感することは、阪神淡路大震災地下鉄サリン事件と同列、もしくはそれら以上に、自我が芽生えてから経験した東日本大震災は紛れもなく日本の転換期として描かれていて、文芸に限らず文化を表すには、そこを避けて通れないんだなと。

作中の翔が語る、

『あの頃の俺は輝いていたとか、あの頃は毎日楽しかったとか、そんなことを言ってる大人が一番ダサい。ウソでもいいから今が一番幸せだって笑ってられる人間になってようぜ。』

っていうところが、自分自身がずっと言い続けてることにも通じていて身に沁みた。

最近、こういう「果たしてこのままの人生でいいのか?」って思わせてくれる作品に多く出会えているから、今後の選択肢についてしっかり考えなきゃなと焦らせてくれる。

懐古主義とは違って泥臭いダサかったことについて、仲間と一緒に時が経ってから振り返ったり、ケリをつけるっていうのはイイことだなとしみじみした。

 

 

95 (角川文庫)

95 (角川文庫)

 

 

 

ドルフィン・ソングを救え!

ドルフィン・ソングを救え!

 

 

 

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった