『ミッドナイト・バス』伊吹有喜

この人の作品を30歳前後で読み始めて本当によかった。

 

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ミッドナイト・バス伊吹有喜

東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。
ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、十六年前に別れた妻だった――。

父親と同じく、東京での仕事を辞めて実家に戻ってきた長男の怜司。
実現しそうな夢と、結婚の間で揺れる長女の彩菜。
そして、再婚した夫の浮気と身体の不調に悩む元妻、美雪。

突然の離婚で一度ばらばらになった家族は、
今、それぞれが問題を抱えて故郷に集まってくる。
全員がもう一度前に進むために、利一はどうすればいいのか。

家族の再生と再出発をおだやかな筆致で描く、伊吹有喜の新たな代表作!(Amazonより)

 

この作者の話は人生数回失敗味わった中年くらいから読み始めた方が面白いと個人的に思う。

この物語も特に劇的なことはないんだけど、バスが何度も新潟と東京を往復するように、時間をかけて徐々に少しずつ家族が修復して新たな形に変容していく様子をじっくり味わう楽しさがある。

そして間接的に関わるいろんな境遇の搭乗者のサブエピソードも、新幹線ではなく長距離バスを使うそれぞれの理由含め良い。

高速バスヘビーユーザーだが深夜便は普通より長いから使ってなかったけど、朝になって起きたら別世界っていいもんだな。

今作も読み終わった後にまだまだここから頑張んなきゃなと思わせてもらった。

 

 

ミッドナイト・バス

ミッドナイト・バス

 
ミッドナイト・バス (文春文庫)

ミッドナイト・バス (文春文庫)