『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン』小路幸也

安定の安心感。

 

『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン』小路幸也

謎のカギを握るのは一枚のメモと高層マンション!?奈々川駅前の高層マンション“グレースタワー”最上階の部屋が暴力団の事務所になっている―。“東楽観寺前交番”に寄せられた通報を受け、赴任三年目の夏を迎えた宇田巡は捜査に向かう。一方、巡の恋人で新人マンガ家の楢島あおいは、年配の女性が不審な男に封筒を渡す場面を目撃してしまう。オレオレ詐欺事件と判断したあおいは、伝説の掏摸の祖母から受け継いだ技を使って、男の胸元から1枚のメモを掏り取る。そんな折、あおいの父・明彦は、長年行方不明だった大学時代の同級生、脇田広巳を町で見かけて…。町の仲間たちが凄ワザで謎に挑む人気ミステリー!(Amazonより)

 

シリーズ三作目の今作、この街の物語って『池袋ウエストゲートパーク』に近いなって気づいた。街や住民たちのトラブルを組織ではなく結びついた個人たちが解決していく感じが。こっちは全ての問題が結果としては有機的に繋がっているんだけど。

今回も、天賦のオリジナルな能力を持つ者たちがいい意味で苦境に立たされずすんなりトラブルを解決してしまう。しかし、それぞれの感情や人の良さを丁寧に描いているから、鼻白むこともないし、穏やかな気持で読み進められる。

しかしその穏やかな展開の中にも、ところどころ影が見え隠れする部分もあって、読み終わっても多少のほろ苦さが残る部分もある。

どんでん返しや激しい起伏を求めず、ゆったりした読書をしたい時にオススメです。

 

 

夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン

夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン

 

 

 

 

sunmontoc.hatenablog.com