2023年読書ベスト

毎年恒例の自己満です。 去年はこちら。 sunmontoc.hatenablog.com 今年は現時点で67冊。数年ぶりに100冊超えなかったしだいぶ減ったけど何度も読み直した作品もあった。 ランキングではなく著者につき一作、感想の長さと面白さは比例しません。記録していな…

『不器用で』ニシダ

『不器用で』ニシダ ▶︎作品紹介 年間100 冊を読破、無類の読書好きとして知られるニシダがついに小説を執筆。繊細な観察眼と表現力が光る珠玉の5篇。(ブクログより) ▶︎感想 帯コメントにも書いてあるけど、いい意味で普通というか、芸人らしさとか特定の…

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 ▶︎あらすじ 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。各界から絶賛の声続々、いまだかつてない青春小説! 中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店…

『腹を空かせた勇者ども』金原ひとみ

『腹を空かせた勇者ども』金原ひとみ ▶︎あらすじ 私ら人生で一番エネルギー要る時期なのに。ハードモードな日常ちょっとえぐすぎん?ーー陽キャ中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と共に未来をひらく、知恵と勇気の爽快青春長篇。皆が違って複雑で、困難…

『電車のなかで本を読む』島田潤一郎

『電車のなかで本を読む』島田潤一郎 ▶︎作品紹介「楽しむため、成長するため……、でも、それだけじゃないんだよなぁ。」ひとり出版社・夏葉社を営む島田潤一郎氏が、これまでに読んできた本のなかから、自分の体験をまじえつつ紹介する、珠玉の49冊。(出版社…

『なんで僕に聞くんだろう。』幡野広志

『なんで僕に聞くんだろう。』幡野広志 ▶︎作品紹介「家庭ある人の子を産みたい」「親の期待と違う道を歩きたい」「虐待してしまう」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校」「毒親に育てられた」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」......。誰…

『BLUE Hawaii』 燃え殻

『BLUE Hawaii』 燃え殻 ..▶︎作品紹介ふとしたきっかけで甦る記憶の数々。ギスギスした日常の息苦しさを解きほぐす一服の清涼剤。週刊新潮連載の大人気エッセイ集。(Amazonより)..▶︎感想久しぶりに時間の経過を意識せず読書に没頭できた気がする。読む時の文…

『ニューヨークの魔法のかかり方』岡田光世

『ニューヨークの魔法のかかり方』岡田光世 ▶︎あらすじ 世界一孤独な街、ニューヨーク。ひとりぼっちでも、哀しみをたくさん抱えていても、なぜ、子どもみたいに人懐こくて、お節介なのだろう――。いつもユーモアを忘れず、あったかい。だから毎日が、なんだ…

『くもをさがす』西加奈子

”私の胸は、本当に、本当に素敵だった。医療廃棄物として処理されたであろう私の胸と乳首に、私は今、心から謝罪したい。そして、感謝したい。” 『くもをさがす』西加奈子 ▶︎あらすじ カナダでがんになった。 あなたに、これを読んでほしいと思った。 これは…

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 岸田奈美

”わたしを家族を信じることを、自分で選んでいいのだ。逆もまた同じで、家族はわたしを信じることを、選んでくれたのだ。” 『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』岸田奈美 ▶︎あらすじ 笑えて泣ける岸田家の日々のこと 車いすユーザーの母…

『月の立つ林で』青山美智子

”悩んでるときって、自分を見失ったりするじゃない。私がいるよっていうのは、あなたがいるよって伝えるのと同じことだと思うの。彼女を想ってる私の存在が、彼女の存在の証しになるんじゃないかなって” 『月の立つ林で』青山美智子 ▶︎あらすじ 長年勤めた病…

『はるか、ブレーメン』重松清

”幸せに生きた人生と、幸せに締めくくられた人生とは違うんだ” 『はるか、ブレーメン』重松清 ▶︎あらすじ 私を捨てた“お母さん”の走馬灯には、何が映っているのだろう。 人生の思い出をめぐる、謎めいた旅行会社に誘われた16歳の少女のひと夏の物語。 小川春…

『ペニー・レイン 東京バンドワゴン』小路幸也

”本当の愛は生まれるものではなく、作られるものです” 『ペニー・レイン 東京バンドワゴン』小路幸也 ◆紹介◆ 人が人を呼ぶ、この下町の温かさよ……! 銭湯、豆腐屋さん、花屋さん、和菓子屋さん、染め小物店……語られてこなかったご近所とそこに暮らす人々にス…

『恋とそれとあと全部』住野よる

「捕まってんな、私ら」 『恋とそれとあと全部』住野よる ◆あらすじ◆ 片想い男子とちょっと気にしすぎな女子。二人は友達だけど、違う生き物。 一緒に過ごす、夏の特別な四日間。 めえめえ(瀬戸洋平)は下宿仲間でクラスメイトの女子サブレ(鳩代司)に片想いを…

『高校事変13』松岡圭祐

”わからない?いまはほかの苗字の奴より頼りになるってことが” 『高校事変13』松岡圭祐 ◆あらすじ◆ 新章、開幕! 最終決戦で宿敵の兄・架祈斗を倒した結衣と凛香。2人ともに進学が決まり、新しい生活が始まろうとしていた。そんな中、高校入学を控えた凜香は…

『飛ぶ教室』 著 ケストナー 訳 丘沢静也

”人形が壊れたからでも、あとで友だちを失ったからでも、泣く理由はどうでもいい。人生で大切なのは、なにが悲しいかではなく、どれくらい悲しいか、だけなのだ” 『飛ぶ教室』 著 ケストナー 訳 丘沢静也 この作品こそ、いまの大人と、そして子どもが読むに…

『ルポ川崎』磯部涼

”サンタクロースがやってこなかった子どもでも、サンタクロースになることはできるのだ” 『ルポ川崎』磯部涼 ここは、地獄か?工業都市・川崎で中1殺害事件や簡易宿泊所火災、老人ホーム転落死といった凄惨な出来事が続いたのは、偶然ではないーー。俊英の音…

『大きなハードルと小さなハードル』佐藤泰志

”世間の眼などどうでもよかった。鳥は夜に眠り、啼かないものだ、と教えてくれる世間など。” 『大きなハードルと小さなハードル』佐藤泰志 生と精神の危機をひたむきに乗り越えようとする表題作はじめ80年代に書き継がれた「秀雄もの」と呼ばれる私小説的連…

『銀座に住むのはまだ早い』小野寺史宜

”たくさんの街の顔” 『銀座に住むのはまだ早い』小野寺史宜 『まち』を愛し、『ひと』を書く作家(千葉在住)、上限五万で住めるまちをゆく! ★本書の内容ノー銀座、ノーライフ。銀座がないなら人生じゃない。それほどに銀座が好きで、可能なら住みたいと思…

『図書室のはこぶね』名取佐和子

”みんなで楽しむためには、みんなが楽しめる環境を整える必要があるんだ。” 『図書室のはこぶね』 名取佐和子 1冊の本と、10年前の謎――この世界が愛おしくなる、瑞々しい青春小説! 10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、 なぜいま野亜…

『書きたい生活』僕のマリ

”いつも頭の中で弾けて浮かぶ言葉たちを並べているあいだのことを、幸福と呼ばずになんと呼ぼう” 『書きたい生活』僕のマリ ちっぽけであたたかな日常ほど忘れたくない。書き留めておくことで、きっとまた前に進める。そんな静かな決意とともに放つ、作家と…

『川のほとりに立つ者は』寺地はるな

”明日がよい日でありますように” 『川のほとりに立つ者は』寺地はるな カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分…

『私の夢はスイスで安楽死 難病に侵された私が死に救いを求めた三十年』くらんけ

“私は自立だけでなく、自律していたかった。” 『私の夢はスイスで安楽死 難病に侵された私が死に救いを求めた三十年』くらんけ 末梢神経が徐々に麻痺していってしまうという難病「CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)」。幼い頃からこの難病と闘ってきた著者…

『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』中村淳彦

”生きているだけで死にそうです” 『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』中村淳彦 奨学金という名の数百万円の借金に苦しむ女子大生風俗嬢、理不尽なパワハラ・セクハラが日常の職場で耐える派遣OL、民間企業よりもひどい、まじめな女性ほど罠に陥る官…

『悪と無垢』一木けい

今回もまんまと翻弄された。 『悪と無垢』一木けい 「逃げなきゃ。この女のそばにいるのは危険すぎる」新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでい…

『オンガクハ、セイジデアル - MUSIC IS POLITICS』ブレイディみかこ

よりスッと入りやすかった。 『オンガクハ、セイジデアル - MUSIC IS POLITICS』ブレイディみかこ イギリスの出来事が、その先の未来と、今の壊れた日本を予見する。ロックと英国の社会・政治を斬りまくる初期エッセイ。『アナキズム・イン・ザ・UK』の前…

『なるほどデザイン』筒井美希

『なるほどデザイン』筒井美希 〜目で見て楽しむ新しいデザインの本!〜「デザイン=楽しい」を実感できる新しいデザイン書籍。デザインする上で必要な基礎、概念、ルール、プロセスを図解やイラスト、写真などのビジュアルで解説しています。現場で活躍して…

『しらふで生きる 大酒飲みの決断』町田康

『しらふで生きる 大酒飲みの決断』町田康 三十年間、毎日酒を飲み続けた作家は、突如、酒をやめようと思い立つ。絶望に暮れた最初の三か月、最大の難関お正月、気が緩む旅先での誘惑を乗り越え獲得したのは、よく眠れる痩せた身体、明晰な脳髄、そして寂し…

『シン・サークルクラッシャー麻紀』佐川恭一

なんて本を読んでしまったんだ。 『シン・サークルクラッシャー麻紀』佐川恭一 クラッシャられるべきか、クラッシャられないべきか、それが問題だ――あのサークルクラッシャーが帰ってきた! 佐川恭一の名を世に知らしめた伝説の作品が長編小説として生まれ変…

『ジンセイハ、オンガクデアル LIFE IS MUSIC』ブレイディみかこ

知らなかった一面とより鋭い切れ味。 『ジンセイハ、オンガクデアル LIFE IS MUSIC』ブレイディみかこ 『アナキズム・イン・ザ・UK』の後半部に大幅増補。待望の文庫化!貧困、差別。社会の歪みの中の「底辺託児所」シリーズ誕生。著者自身が読み返す度に初心…