キネマの神様

ニューシネマパラダイスを観るきっかけにもなったかなりのオススメ。

 

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『キネマの神様』 原田マハ

 

だいたい月に5〜10冊から本読んでて、難しいことは考えずに話題作や自分が好きな作者を中心に読んでるだけなんだけど、ふと本屋で平積みされててあらすじ読んでみたら、「映画の話っていいなー」「自分が好きなことの話っていいなー」くらいな感じで買ってみたら、本当に出会って良かったと心の底から思った。読み終わってからも高揚感が収まらなかった。

 

あらすじと書いたり詳しく説明するのは面倒なんでしませんが、40手前の女性主人公が公私ともに問題にぶち当たり、零細映画雑誌企業で奮闘して、奇跡が起きる的なやつです。中年奮闘記的な話が大好物な自分としてはドンズバでした。

 

色んな映画の描写が出てくるんだけど、登場人物・作者の映画への愛情が溢れていて見たくな作品が多々。

主人公のダメ親父と謎のブロガー「ローズバッド」がブログ上で映画評論を交えるところは、どちらも映画へのもの凄く色んな角度からの解釈をしてて、自分の想いを滲ませたり過去を投影したり、そしてそれを相手も読み取っていて、意見を戦わせているけど、お互いに相手の一番の理解者になってきて、もちろん映画が主軸の話なんだけど結局は友情がテーマなんじゃないかと思いました。

 

そして中盤以降の奇跡が起こり始める展開はニヤけながら読んでしまいました。終盤のお互いへの投稿(語りかけ)は何年ぶりかに読書して涙が溜まりました。読み終わった後に今日何か観ようと思えるはず。(自分は満足しすぎて何も見たくなくなったけど)

 

どんどん没頭してハイスピードで読んでいるつもりなんだけど細部までしっかり読むから想像以上に読むのが遅くなる不思議な読み応えでした。

 

 

 

キネマの神様 (文春文庫)

キネマの神様 (文春文庫)