『天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア』知念実希人

エピローグでの期待感。

 

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天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア知念実希人

呪いの動画によって自殺を図った女子高生。男性に触れられた瞬間、肌に異常をきたす女性。そして、密室で溺死した病院理事長の息子…。常識的な診断や捜査では決して真相にたどり着けない不可解な事件。解決できるのは、怜悧な頭脳と厖大な知識を持つ変人女医・天久鷹央、ただ一人。日常に潜む驚くべき“病”と事件の繋がりを解明する、新感覚メディカル・ミステリー第3弾。

 

エピローグを読んだ時に、「初めて鷹央が敗れるのか?」という不安と期待感が溢れてくる。

今回エピソードごとの繋がりがあるわけではないんだけど、メインエピソードの読み応えが十分にあって満足。

いつも謎の真相を解明してから種明かしをする鷹央が、小鳥を統括診断部に残すために、自分のポリシー・プライドを曲げてでも、とにかくわかることから少しずつ明らかにしていくというような、謎に近づこうとする姿に人間味を感じた。

エピローグの繰り返し部分をラスト手前で読んでからの、全く気づかなかった盲点が現れてからの展開が爽快。

今作は特に珍しい原因による症例をトリックや状況に繋げていく、ある意味逆説的?な文章の見事さに感嘆した。

あと終盤の島崎刑事との、『プロ』と『素人』の話でのやりこめ方が痛快だった。

2人の関係性も、上司と部下、友達以外への展開も期待させてくれる。

 

 

 

 

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