『花咲小路三丁目のナイト』小路幸也

花咲小路シリーズ第四弾。

 

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『花咲小路三丁目のナイト』小路幸也

元「怪盗紳士」も、若手刑事も、ちょっと不思議な花屋さんもいる花咲小路商店街。たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起こる。今回の舞台は花咲小路唯一の深夜営業のお店、「喫茶ナイト」。商店街のみなさんの、夜にしかできない相談ごとに応えていて―。(Amazonより)

 

もちろん作風や主人公の性格もあるけど、推理力・観察眼の高さが、天久鷹央なんかとは違いこれ見よがしではなく、自然にすっと頭に入ってくる感じが心地良い。

作者の特徴である悪い人が1人もいない世界でそれぞれが他人を思いやって、小さな世界のちょっとした出来事や事件を解決していく過程で、各登場人物の長所や美点を満遍なく表現されている優しい世界。

それぞれの問題が一度に羅列される時点では、「どうまとめるんだろう?」と思ったけど、最後の大岡裁きは見事すぎる。「あかさか」を望が継ぐのは予想できたけど、射撃やハシタンも絡めて解決に持っていくとは思わなかった。

その終盤での仁太から全員に向けた、

『人ってのはさ、いろいろだ。人生ってのもいろいろだ。自分で生きる場所を作れる人間がいれば、生きる場所を探せる人間もいる。辿り着いた場所で幸せを探す人間もいれば、与えられた場所でしっかり立つ人間もいる。他人と違うことを、逃げ出したことを、耐え切れなかったことを悔やんでいてもしょうがない。そこから、どうやって生きるかが大事なんだ。』

って言葉が、生きていく上でものすごく大事なことなんだなと、小学生みたいな感想だけど素直に感じた。

シリーズを通して、昔から知っているように思えるやさしい人たちに再会できているような感覚がすごく好きなので、今後もシリーズずっと出して欲しい。

そして、そろそろ『東京バンドワゴン』シリーズ最新作読みたい。

 

 

花咲小路三丁目のナイト

花咲小路三丁目のナイト