ちゃんと次も読まなきゃいけない。
『やがて海へと届く』彩瀬まる
一人旅の途中ですみれが消息を絶ったあの震災から三年。今もなお親友の不在を受け入れられない真奈は、すみれのかつての恋人、遠野敦が切り出す「形見分けをしたい」という申し出に反感を覚える。親友を亡き人として扱う彼を許せず、どれだけ時が経っても自分だけは彼女と繋がっていたいと悼み続けるが―。
好きな作品である『君の膵臓を食べたい』の映像版で主人公がこの作品を読んでると知って。作者の名前は知ってたけど「乃木坂にいそうな名前だな」程度の知識しかなく。
読んでみると、悲しみに暮れているばかりでもなく、悲惨さを訴え続けているだけでもなく。どう身近な人に起こった不幸を咀嚼して踏ん切りをつけて日常を続けていくかというか、日々の生活にどうやってあの大震災を浸透させていくかっていう感じでした。
2人(ふたつ)の視点で交互に物語が紡がれていて、世界観の振り幅が大きくていちいち感覚を入れ替えられるような不思議な読み心地。(解説を読んである言葉でつながっていると知ったけど)
大切な人が亡くなったことをどうやって忘れないでいるかではなく、その人との楽しかった思い出を思い出してあげるっていう、今まで考えたことがないような発想があって心に残ったし、悲劇に浸るよりもその方がその人のためだよなって思った。あとはその人から教わったこととか無意識に行ってる些細なことに影響を感じることでその人に「会える」っていうことが素敵だなと思った。
歳月を経てから読んだらどちらの視点もまた感じ方が変わりそう。
物語の元ともなったルポも必ず読む。
暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫 あ 83-2)
- 作者: 彩瀬まる
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/02/28
- メディア: 文庫
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