『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

お前は大丈夫か?と言われてる感じだった。

 

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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

大人の凝り固まった常識を、
子どもたちは軽く飛び越えていく。
世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、
落涙必至の等身大ノンフィクション。

優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜの
イカした「元・底辺中学校」だった。
ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。
人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。
時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。
世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子と
パンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。

連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。

 

噂になってたので購入。

もっと作者と息子のパーソナルな問題かなと思ってたけど、その2人を介して周囲や果ては世界まで繋がる現代の社会問題に広がっていく物語だった。

率直に、こんなに気づきのきっかけがある親子関係・周囲との人間関係・住環境っていろんな意味で貴重だし素晴らしいなと。

年を経ていくと、改めて問われたら意識するような倫理や問題について、日常生活の煩雑さなどで理由で意識が希薄になっていく気がする。けど作者は息子や日本とは異なる地での暮らしというきっかけによって、いつもリマインドされているような感じ。

個人的にもこういう気づきや意識を改める機会を日常生活に持つことって大切だと思う。

また大きな世界ではなく、基本はあくまで作者が暮らすリアルな小さな世界で出会う問題として表出しているから、現実感を持って考えやすい。

当たり前だけど忘れやすい・見落としがちな大切なことを考えるきっかけがたくさんこの本には散りばめられている。

 

淡々としながらも豊かな感受性を持って成長していく姿が、フィクションではあるけれども、『東京バンドワゴン』(小路幸也)の「研人」に重なる部分があった。

 

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 

 

 

東京バンドワゴン (集英社文庫)

東京バンドワゴン (集英社文庫)