『カエルの小指 a murder of crows』 道尾秀介

さらに続編を期待してしまう読後感。

 

『カエルの小指 a murder of crows』 道尾秀介

「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで
彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間――まひろ、やひろ、貫太郎らと再集結し、キョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが……。(Amazonより)

 

前作『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb」も騙される快感があったけど、さらにも増して。また間を置かずに続けて読んだから、冒頭のシーンからテンションが上がる。

前作を経験しているからこそ、「テツがいなくて、竹沢1人で大丈夫かな?」っていう親心にも似た感情移入をしてしまう。

序盤から感心してしまう欺しの応酬(竹沢の住居が高級マンションのような描写や、キョウのツボを押すシーンなど)がやっぱり心地いいし、物語全体を通して、なんだかんだ結局うまくいかない感じが常に続くのも他のミステリーとは違う感じがして面白い。

そしてやっぱり前作同様、誰かの掌で踊らされていた感がたまらなく好き。最後の殺すのを躊躇したように見えたのも全てキョウの計画だったら鳥肌モノ。

まひろの件とか、新テツの才能とか、もっとさらに求めてしまう要素もあるから続編を強く希望。

「人間、どこから来たのかではなく、どこへ行くのかが大事」という作中の言葉が、何度失敗・挫折を繰り返しても、平凡であろうとも変わろうとする竹沢の姿を言い表していて心に残る。

 

 

カエルの小指 a murder of crows

カエルの小指 a murder of crows

 
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

 

 

 

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