『逆ソクラテス』伊坂幸太郎

面白くて一気読み。

 

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『逆ソクラテス伊坂幸太郎

敵は、先入観。世界をひっくり返せ! 伊坂幸太郎史上、最高の読後感。デビュー20年目の真っ向勝負!(Amazonより)

 

作者の思春期の青少年を題材にした『サブマリン』や『砂漠』は大好きだけど、舞台を小学校に移してもここまで面白さ失わずに新たな魅力を見せつけるなんて脱帽。

一章目から「いいねー!」と思わず声出してしまう展開で終始楽しく読めた。

すべての章を通して、先入観や他人の固定観念に囚われないことを、小学校という同じ舞台を通してじっくり刷り込まれているような感覚だった。そのなかでも、第一章で出てくる「僕はそうは思わない」ってめちゃくちゃ大事な言葉だよなと感じた。成長期だけでなく大人になっても大切な芯。

また、第二章での「もし、高城がいじめられっ子だったとしたら、何か変わるか?」っていう言葉が、章の最後で逆の意味を持つことをがわかり、弱い立場のものだけではなく、もっと様々な人の立場で考えることの重要性が出てきて、作品の世界が広がるターニングポイントになったと思う。

さらに、第三章で先生が放つ、「相手によって態度を変えることほど、恰好悪いことはない」、「心の中で、可哀想に、と思っておけばいい」という言葉が、むしろ大人になって中年に片足突っ込んでる今だからこそ良くも悪くも響く言葉だった。ダサくもなりたくないし、他人にずっと悩まされたくもない。

そして、第四章から最終章にかけて、間違いを何度犯したとしてもよっぽど出ない限りやり直す機会は誰にでも巡ってきて、その時にどんなか手を差し伸べられるかという、普遍的なメッセージを伝えてくれる。第四章の最後のアンスポのくだりがオーラスにめちゃくちゃ効いてくるところもさすがだし、最終章のお母さんの人を喰ったようなキャラが作者らしくて楽しめた。

一捻りされている、変形版重松清のように感じた短編集。よりシンプルで純粋な舞台だからこそ、作者の力が思う存分発揮されていたしメッセージも一際濃かった。

ますますファンになってしまう。

 

 

逆ソクラテス

逆ソクラテス

 

 

 

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