『さんかく』千早茜
ずっと読みたかったやつ。最高だった。
『さんかく』千早茜
「おいしいね」を分け合えるそんな人に、出会ってしまった。古い京町家で暮らす夕香と同居することになった正和。理由は“食の趣味”が合うから。ただそれだけ。なのに、恋人の華には言えなくて…。三角関係未満の揺れ動く女、男、女の物語。(Amazonより)
月並みな言葉だけど、やっぱり料理は「誰と食べるか」が料理自体の美味しさと同じくらい重要なことなんだと気づかせてくれる素晴らしいい作品だった。
華美ではないけど丁寧な料理や暮らしぶりの描写によって作中にじんわりとしたあたたかみが通っており、恋人である華の生き物の生死に関わるドラスティックな徹底した向き合い方によって良いコントラストができている。
30代だからこそ共感できるような人間関係や人生の一部があり、好き嫌いの二択の理由だけではやりきれない事情に生きていくことの面倒さと悩む価値を感じる。
各篇が短く、料理のエピソードと描写がわかりやすいのでどんどん読み込めちゃうし、どんどん腹が減る。夜中に読むときは気をつけてください。
これも人生単位で本棚に残しておく一冊になりそう。