『ファーストラヴ』島本理生
やっと読んだ。
『ファーストラヴ』島本理生
なぜ娘は父親を殺さなければならなかったのか?多摩川沿いで血まみれの女子大生が逮捕された。彼女を凶行に駆り立てたものは何か?裁判を通じて明らかにされる家族の秘密とは?(Amazonより)
2018年上半期の直木賞受賞作でなんとなく読んでこなかった作品。
作者自体も読むの初めてだったけど、いろいろな意味で透明感のある文章が印象的だった。
被告人の父はなぜ死んでしまったか。根気強く被告人の人生を紐解いていくと、そこには想像もできないような過酷さと、締め付けられることで吐露できなかった苦しさがあった。
臨床心理士である主人公が、自身の人間関係とリンクさせながら被告人に接していくから、感情移入しやすく、突拍子もない出来事ではなくどこか現実感を持って想像できる。
主人公自身の過去を清算したことによって、被告人に対して今まで以上に正面から真摯に向き合うことができるようになり、物語は大きな転換を迎えていく。
自身が認めないようにしている他人の無関心や悪意もあるし、反対に気づけていない善意や思いやりもあるんだなってことを最後に実感した。
うまくまだまとめられないけど、読んだ後の満足感が高い作品だった。