『父が娘に語る、美しく、深く壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』ヤニス・バルファキス

あのブレイディみかこが絶賛してたので。

 

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『父が娘に語る、美しく、深く壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』ヤニス・バルファキス

財務大臣の父がホンネで語り尽くす!シンプルで、心に響く言葉で本質をつき、世界中で大絶賛されている、究極の経済×文明論! (Amazonより)

 

 

ギリシャの経済危機の際の元財務大臣が娘に語るように書かれた今作。

 

経済についてほとんど無知だったので、10代の子に優しく易しく説明するような文章がすんなり入ってきて、途中で経済論というよりもエッセイのように読んでしまっていた。

 

経済についてだけでなく、歴史や政治は言わずもがな、文明や小説や映画などの近代文化も事例に挙げているので、興味を失わずに理解を深めることができる。

また様々な要素も混ぜ合わせることで、単なる知識や論理としてではなく、その時代時代でどのような背景があって経済が必要に応じて変遷を遂げ、未来はどうあるべきかまで人類の歴史をひとつの線として学ぶことができる。

 

特に、第7章「誰にも管理されない『新しいお金』」で、収容所での取引の手段となっていたタバコと、ビットコインを同じ章で今と昔を繋ぎ合わせて説明していたところが見事だった。個人的に『ショーシャンクの空に』や『プリズン・ブレイク』が大好きなので尚更。

 

未来に向けて必要なことに、「民主化」がキーワードとなることも意外であったし、人間を機械に置き換えるには限界があり、機械は消費者にはなりえないという考え方も新鮮だった。

そしてこれからの本当の幸福を追い求めるには、満足と不満の両方が存在しなければならず、満足によって奴隷になるよりも、不満になる自由が必要だというところが特に印象的だった。

 

 

経済のみならずこれからの人類の未来を考える上でとても良質な入門書だった。

 

 

 

 

 

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