『52ヘルツのクジラたち』町田その子

遅ればせながらももちろんこれも良かった。

 

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『52ヘルツのクジラたち』町田その子

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。(Amazonより)

 

ほんとうになんとなく、題名から受ける印象から読まずにいた作品。

作者のデビュー作で衝撃を受けていざ読んでみると、読んでいなかったことを後悔するほど面白かった。

 

周囲の人の存在は間違いなく感じるんだけど、あくまで主役2人の感情や世界を、奥の奥まで突き詰めた息苦しさと面白さは格別だった。

かつて感じたかすかな温かさをかき消すほどの絶望を経験し、現在も曇天を彷徨うような状況から、未来にかすかな希望を見出し、良いい意味でもたれあいながらも二人でふたたび立ち上がる姿がすごく良かった。

物語のトーン的に好きな遠田潤子作品に近いものを感じる。あと作品にLGBTの軸が当たり前にメインエピソードではなく溶け込んでいるところも、「今」の作品な気がする。

 

 

 

 

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