『ただいま神様当番』青山美智子

さすがの面白さ。

 

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『ただいま神様当番』青山美智子

ある朝、目を覚ますと手首から腕にかけて「神様当番」と太くて大きな文字が書かれていた!
突如目の前に現れた「神様」を名乗るおじいさんのお願いを叶えないと、その文字は消えないようで……?

「お当番さん、わしを楽しませて?」

幸せになる順番を待つのに疲れている印刷所の事務員、理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子、SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生、大学生の崩れた日本語に悩まされる外国語教師、部下が気入らないワンマン社長。

奇想天外な神様に振り回されていたはずが、いつのまにか主人公たちの悩みも解決していて……。
笑えて泣けるエンタメ小説です。 (版元ドットコムより)

 

 

著者の作品を読むたびに、柔らかい文章での読み易さと心に響いてくるセリフの多さの両立がすごいなって感じる。特に主人公に気づきを与えてくれる脇役たちの言葉が素敵。

 

「大げさかもしれないけど、人生って、単に楽しいからやるって、それが一番の決め手だよ。意味があるとか、お金になるとかはその次でさ。自分自身に何かの取柄や才能があるかどうかもあんまり関係なくて、この世をおもしろがれる力のほうがうんと大事だと思う。」

「思い通りにならない恋にすったもんだするって、究極のリア充だよ。きれいなことしかない世界なんて不自然なんだから」

「怒っているとか悲しいとか、そういう気持ちは一番にしっかり伝えなくちゃだめよ。その後にちゃんと笑うためにもね。」

 

またフォーマットが素晴らしくて、今作も、神様当番という不思議な設定を通して、起承転結がわかりやすく全編から満遍なく面白さが伝わってくる。

どんな状況やテンションで読んでもオールラウンドに面白さを与えてくれる作家さん。

 

 

 

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