『縁』小野寺史宜
この人の作品は全てツボに入ってしまう。
『縁』小野寺史宜
人と人はつながっている。
たとえ、どこの誰だか知らなくても。
2019年本屋大賞第2位『ひと』の俊英、会心作!(Amazonより)
去年から著者の本を片っ端から読んでるけど、今作もドンピシャで好みだった。
第一章の主人公の透明度が高くて、素朴で心が広い感じは、著者の作品の大事な要素である「川」と「河川敷」のイメージにピッタリ。
また、人物の嫌な感じが絶妙すぎて読んででイラッとするけど、次の章でその人の反対側からの面も見せられて、どこからどんなふうに捉えるかでひとの印象って変わるよなってつくづく思わせてくれた。誤解だったとまでは言わないけど、分かり合えるというか多少は納得できる余地もあるというか。特に「塵」と「針」の春日真波。
各短編の緩い繋がり方も面白く、タイトルの意味もしっかり感じさせてくれる終わり方で大満足。「縁」が「へり」と「ゆかり」、どちらの意味もあるってところもグッとくるポイントだった。