めちゃくちゃ久しぶりになってしまった更新。
資格試験が今日で終わったので読書感想再開します。(資格試験については合格してれば記念に更新します…)
てか6月以降なぜか記事書けなくてnoteにしかアップしてなかったやつもあるんだった。
小説だったら今年読んだ中でベストかも。
『宙ごはん』町田そのこ
この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。
(版元.comより)
ここ数年、小説でもエッセイでも食にまつわる話が好きになってきて色々読んでるけど、その中でも格別。
出てくる料理はどこか地味というか、物珍しいものではなく、馴染みがあるもの。
でも、今まで経験してきた作品よりもエピソードに軽さが少なくずっしりしっかりしていて、たっぷり登場人物たちの心理描写や世界観を味わった上で、過剰じゃない必要最低限の救いを与えてくれる一品って感じ。
作者ならではの、マジョリティではない、声高に叫べなさそうに感じられてしまう人々の苦しみや葛藤を、その人たちにとってしか当てはまらないオーダーメイドのような形での光を提示してくれる。そしてその受けた救いをしっかり繋いでいくところも。
決してお涙頂戴な感じではないんだけど、登場人物を驚くぐらいズバッと入れ替えて、でもその人たちが与えてくれたものはしっかり受け継がれて積み重なっていることが実感できる。また、家族であったとしてもそれぞれの優先順位を大事にして逃げたり断絶したり諦めていくところも好きなところで、ユニークな環境で育った主人公の俯瞰さと相まって物語に良い冷たさを加えてくれている。
その要素がこれでもかと凝縮された最後のエピソードは見事だった。
他の作品に引っ張られてるけど、永野芽郁で実写化してほしい。