『レジデンス』小野寺史宜

『レジデンス』小野寺史宜
湾岸に住む4人の主人公たちの交錯するある夏の3日間。

学校では成績優秀な反面、夜な夜なひったくりを行っている中学生・望。望の小学生の時の同級生で夜は自転車泥棒に暴行を働いている弓矢とその異母兄・充也。就職活動前に事故にあったことで就職できなくなってしまったフリーターの根岸。
ある晩根岸が充也の元彼女を刺殺、時同じくして弓矢は暴行した自転車泥棒から反撃にあう。
弓矢の暴行シーンに居合わせた充也と望はどんな行動に出るのか…。
湾岸に立つマンション「湊レジデンス」を舞台に錯綜する"衝動"と"本性"を辛辣な視線で描いた群像劇。(Amazonより)

 

 

著者の『ひと』『いえ』『まち』のような作品が大好きだったけど今作は新境地だった。

 

『いえ』と『まち』の中間というか”集合住宅”という新たな世界。そこにはそれまでの作品では目立たなかった人間の欲望みたいなものが色濃く描かれていた。冒頭ではその目新しさに戸惑いもしたけど、どんどんズブズブ深くなっていく衝動や本能にハマっていく。

 

またレジデンスという特性を活かした、他人以上近所未満の絶妙な関係の希薄さにより知らないところで繋がっていく人間模様が抜群に面白かった。

 

後味の悪さも含めてかなり好きな作品になった。

 

 

 

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