『半径5メートルの野望 完全版』はあちゅう

たまには小説以外も。

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『半径5メートルの野望 完全版』はあちゅう

なりたい自分と思い通りの生活を手に入れるには? 世界一周、就職、起業、そして小説家……、夢を常に叶え続ける著者・はあちゅうの答えは「自分の半径5メートルを探して見つけた小さい野望を少しずつでいいから育てるべし!」。迷えるあなたの人生をきっと変える極辛人生指南、文庫完全版で登場!(Amazonより)

 

作者はKEN THE 390のこの動画で存在知った。


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そっからTwitterのフォローしてる人とかがリツイートしてて、気になり購入。

 

個人的には啓発本や指南書というよりは、「私はこうしてる」という信条(この本で言うところの『クレド』)について、具体例を挙げてくれてる感じ。

 

今の自分の考え方に合わないポイントもあるけど、完全に盲信して鵜呑みにするよりも、「5〜7割くらい共感できる・参考になる」ていう気づきを、もっと幅広く吸収していくことが大事なのかと。

 

エピソードで述べられていた、「迷う理由が値段なら買え。買う理由が値段ならやめとけ。」って言葉にハッとして、タイムリーに最近悩んでたAmazonほしいものリストにあった商品買おうと決意。さっき実行。

 

LOGICOOL ステレオスピーカー Z120BW

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これと、

 

 

 これ。

 

好きな分野への投資に躊躇しないように。むしろ本棚2個に増やした。

 

最後のあとがきの読者へのケアがすごい丁寧で、小さなことでも何か変えてみよう・やってみようって気にさせられる(鵜呑みにして購入しちゃったし)。

あとほぼ読書レビューしか書いてないこのブログも、もっと頻繁に更新したり、文章もっと書こうと思わせてくれました。

 

 

半径5メートルの野望 完全版 (講談社文庫)

半径5メートルの野望 完全版 (講談社文庫)

 

 

 

 

 

『シャドウ』道尾秀介

人様のオススメ作者を読む。

 

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『シャドウ』道尾秀介

人は、死んだらどうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、凰介の母は病死した。父と二人だけの生活が始まって数日後、幼馴染みの母親が自殺したのを皮切りに、次々と不幸が…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?いま最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作。本格ミステリ大賞受賞作。(amazonより)

 

今まで漁らなかったことを激しく後悔。めっちゃ面白い。

タイトルのせいもあるかもしれないけど、読んでる時はずっと、薄気味悪い影というか不安みたいなものが付いてきてた。いろんな箇所に疑心暗鬼になる。疑った箇所が実はそうじゃないってところも多いんだけど。

思った以上に読みやすいし、もう一回最初から読んだらかなり印象違くて面白そう。パートごとに主観が変わるけど、繋ぎ方がすごい滑らかだった。

ただ子供2人が小学五年生には無理がある気が。思考が成熟しすぎてる。

 

『月と蟹』で一度挫折したけど、今なら偏見持たずに読める気がする。

 

 

シャドウ (創元推理文庫)

シャドウ (創元推理文庫)

 

 

『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎

新規開拓の箸休めに。

 

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『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎

この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け。希望のない、二択だ。

密告、連行、苛烈な取り調べ。
暴走する公権力、逃げ場のない世界。
しかし、我々はこの社会で生きていくしかない。
孤独なヒーローに希望を託して――。
らしさ満載、破格の娯楽小説!(amazonより)

 

最初に思ったことは、伊坂幸太郎の作品でこんなに胸糞悪い世界観・登場人物の話があるんだってこと。嗜虐性とか誰もが多少は持っている性質があまりにも高い?のに、狂っていることがあまり狂っていないように、当たり前のように書かれているので、地味にジワジワ気分悪くなる。

 

でもやっぱり途中からの連鎖性とか展開はさすが伊坂幸太郎って感じで、スカッとする部分もあるんだけど、最終的には善悪はっきりさせないところが、今後の自分たちが生きている世界でもあり得るんじゃないかって思わせてくれて不気味で良い。

 

真壁は登場した時から、いつもの作者の登場人物と比べると「あれ?この人はもっとこういう感じじゃないの?」って思うんだけど、最後はやっぱり。

 

『陽気なギャング』とか『チルドレン』とかとは一味違うの読みたい人にオススメです。

 

 

火星に住むつもりかい?

火星に住むつもりかい?

 

 

 

 

『翼がなくても』中山七里

まずタイトルが良い。

 

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『翼がなくても』中山七里

陸上200m走でオリンピックを狙う沙良を悲劇が襲った。
交通事故に巻きこまれ、左足を切断、しかも加害者は幼馴染みの泰輔だった。
アスリート生命を絶たれた沙良は恨みを募らせる。そんな泰輔が殺害され、高額な保険金が支払われた。
犯人は誰なのか? また、絶望の底から再起を図る沙良の運命は?
どんでん返しの先に感涙のラストが待つ傑作長編ミステリー!(amazonより)

 

最近の中山七里面白いけどちょっと物足りない感が払拭された。

 

「岬洋介」シリーズと「犬養刑事」シリーズと「御子柴礼司」シリーズのいいとこ全部ぶっこんだようなストーリー。やっぱりこの人の書くある世界・分野に狂気を感じさせるレベルでのめり込んでる人の話は面白い。

 

ミステリーなんだけど大部分は陸上競技の話で、スポーツモノとしてもめちゃくちゃ読み応えある。当たり前の話ではあるんだけど、障害者スポーツにもここまで刹那性というか我が身を破壊する覚悟を持って望んでいるんだってことと、スポンサー・資金調達面の困難さが一般競技よりも多いんだなっていうのが、フィクションながら勉強になった。

 

良くも悪くも御子柴礼司が登場する作品を読むたびに、彼の人間らしさがどんどん出てくるようになって好感持てる反面、クソみたいに冷徹であって欲しいなとの気持ちも。

 

泰輔についての描写をもっと読みたかったけど、最終的にはあの左足が泰輔の想いというか自身そのものになったのかのとも。

 

タイトルを見たときになぜかMCニガリがTKda黒ぶち戦で言った「折れた翼でも飛べる」っていう言葉を思い出した。

 

 

翼がなくても

翼がなくても

 

 

 

 

 

 

『四畳半神話体系』森見登美彦

今月からはヒトのオススメの作者も読んでいく。

 

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『四畳半神話体系』森見登美彦

妄想してないで、とっとと恋路を走りやがれ!
私は冴えない大学三回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。できればピカピカの一回生に戻ってやり直したい! 四つの平行世界で繰り広げられる、おかしくもほろ苦い青春ストーリー。(amazonより)

 

夜は短し歩けよ乙女』が読み易かったから、そんな感じなのかなと思いきや予想以上にまどろっこしくて長いなと感じてたら、「あっ、そういうことか」と第2章からジワジワ効いてきて当然だけど読むペース加速した。あれだけデジャブのような文章体験したらそうなる。

 

時をかける少女』『君の名は。』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』とかと似たような平行世界モノなんだけど、感動とかは一切なく、各章のオチがくだらないんだけどすごく癖になる。

 

得るものは何一つない良い意味でトップレベルの暇つぶし文章。

 

 

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

 

 

 

 

『マリアビートル』伊坂幸太郎

スピード乗るまでめっちゃ時間かかった。

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『マリアビートル』伊坂幸太郎

物騒な奴らが再びやってきた! ノンストップエンターテインメント

酒浸りの元殺し屋「木村」。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」「檸檬」。運の悪い殺し屋「七尾」。物騒な奴らを乗せた新幹線は疾走する! 『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。(amazonより)

 

作者のこの手の形式には慣れたと思ったけど、企んでる登場人物が多すぎて最初なかなかページ進まなかった。

 

でも各人物が絡みついてきて、裏切りや工作が二転三転盛り込んであってスピードめっちゃ乗ってきた。ジェットコースターストーリーならぬ新幹線ストーリー。

 

中学生が本当一貫して腹立つんだけど檸檬と鈴木らに同様隠せなくなって、最後に化けの皮が剥がれるのは爽快。木村父の「麻疹」発言はめっちゃスカッとした。鈴木のかなりドライというか冷静な答えも印象的だった。

てか鈴木って『グラスホッパー』の時にこんなに達観したような人物だった?

 

殺し屋シリーズの最新作である『AX』も読みたくなった。

 

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

 

 

 

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

 

 

AX アックス

AX アックス

 

 

 

 

『殺人出産』村田沙耶香

自然に異次元で常識疑い始める。

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『殺人出産』村田沙耶香

祝!芥川賞受賞
村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ!
10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。(amazonより)

 

内容以前に、こういう発想に至る作者に恐怖すら感じる。前テレビで見たときも、すごい優しそうな顔してるのに行動とか言動がさらっとぶっ飛んでるなと思ってたけど。

衝撃の展開とかではなく、自然に移行したかのように新しい常識の世界がを描いているからのめり込みやすいんだけど寒気する。

表題作の「産刑」制度は逆手に取った感じで、倫理観崩壊するし、何を善として世界が動いているのかわからなくなる。

『トリプル』はタイトルからはパッと見「?」って感じなだけど、「あっそういうこと…」ってなる。しかも3Pや同性愛ともまた違う生理行動?生理本能?がそこにはあって「マウス」っていうスタイルには、もはや開いた口が塞がらなかった。

 

コンビニ人間』よりもこっちの方が作者らしいのかなと思った。新しい世界観が楽しいし、既存の価値観もどうなるかわからないよなって気づかされるし、読んでて楽しい。グロともエロとも違う薄気味悪さが癖になる。

 

 

殺人出産 (講談社文庫)

殺人出産 (講談社文庫)