2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『正欲』朝井リョウ

もうあとには引けない。 『正欲』朝井リョウ あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱…

『デートクレンジング』柚木麻子

アイドル小説って無条件に惹かれるよね。 『デートクレンジング』柚木麻子 「私にはもう時間がないの」 女を焦らせる見えない時計を壊してしまえたらいいのに。 喫茶店で働く佐知子には、アイドルグループ「デートクレンジング」のマネージャーをする実花と…

『毒島刑事最後の事件』中山七里

この中毒性と快感を待っていた。 『毒島刑事最後の事件』中山七里 刑事・毒島は警視庁随一の検挙率を誇るが、出世には興味がない。一を話せば二十を返す饒舌で、仲間内でも煙たがられている。そんな異色の名刑事が、今日も巧みな心理戦で犯人を追い詰める。…

『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子

これも一生本棚入り。 『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子 「死ぬ前に家族と潮干狩りに行きたい…」患者の最期の望みを献身的に叶えていく医師と看護師たち。最期を迎える人と、そこに寄り添う人たちの姿を通して、終末期のあり方を考えるノンフィクション。(…

『臨床の砦』夏川草介

一口に面白いとは言えないけれども。 『臨床の砦』夏川草介 緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作。「この戦、負けますね」 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見え…

『春、戻る』瀬尾まいこ

じんわり大切なことを教えてくれる。 『春、戻る』瀬尾まいこ 結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和…