2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『凪に溺れる』青羽悠

進化した瞬間を目の当たりにした気がする。 『凪に溺れる』青羽悠 自分にも劇的な未来が待っている。そう信じられなくなったのは、いつからだろう――。 16歳にして小説すばる新人賞史上最年少受賞を果たした鮮烈なデビュー作、『星に願いを、そして手を。』か…

『明け方の若者たち』カツセマサヒコ

これは年間ベストに入る。 『明け方の若者たち』カツセマサヒコ 明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅を…

『銀花の蔵』遠田潤子

今までとは一線を画すファミリーヒストリー。 『銀花の蔵』遠田潤子 絵描きの父と料理上手の母と暮らす銀花は、一家で父親の実家へ移り住むことに。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る、歴史ある醤油蔵だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められ…

『2030年の世界地図帳』落合陽一

考え方・文章が肌に合ってる気がする。 『2030年の世界地図帳』落合陽一 SDGs、GAFAM、中国、サードウェーブの世界を俯瞰しわかりやすく解説。小・中学生から大人まで、それぞれの2030年に向けてのビジョンを作るために必要なデジタル地政学の考え方とは。地…

『冬雷』遠田潤子

絶対裏切らない面白さ。 『冬雷』遠田潤子 大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた…

『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭

大好きな人なのに読んでいなかったので。 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭 前作『社会人大学人見知り学部卒業見込』から約4年ぶり、新作の舞台はキューバ!航空券予約サイトで見つけた、たった1席の空席。何者かに背中を押されたかのよ…

『エンディングドレス』蛭田亜紗子

こういう丁寧さ大好き。 『エンディングドレス』蛭田亜紗子 夫に先立たれた麻緒、32歳。自らも死ぬ準備をするため“死に装束を縫う洋裁教室”に通い始める。20歳の時に気に入っていた服、15歳の頃に憧れていた服、自己紹介代わりの服…。ミステリアスな先生によ…

『西の魔女が死んだ』梨木香歩

今更クラシック。 『西の魔女が死んだ』梨木香歩 中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは…

『ここは、おしまいの地』こだま

悲劇と喜劇は表裏一体。 『ここは、おしまいの地』こだま 田舎の集落で生まれ、規格外の人生観をもつ家族のもと「当たり前」すら知らずに育った著者。悪臭立ち込める新婚生活を経て、病気で無職になってからも災厄続き。それでも折れない清らかな花のような…