『アンマーとぼくら』有川浩
これも良かったなあ。
『アンマーとぼくら』有川浩
休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。(Amazonより)
父ちゃんのイラつく寸前のギリギリで持ちこたえてる憎めなさもいいし、少女のようなおかあさんも魅力的。主人公については過去の描写は出てくるけど、現在をぼやかすことで最後まで物語の展開が読めないことが新感覚で面白い。
沖縄の各所について、観光的な魅力や戦争の悲惨さとかに焦点を合わせるのではなく、景観も設備もありのままの姿を丁寧に描写されていて、沖縄の人たちが「普通」に大事にしていること・信じていることを感じることができた。
設定も主人公の二面性というか、過去と現在をあえて混乱させるような書き方が面白いし、その2人が近づいたり離れたりする振り幅みたいなものも良い。
お父さんが亡くなった後の学校での話は先生と金ちゃんに思わず感動してしまった。
現在と過去を行き来しながら2人の想いを知りながらどんどん素直になっていく主人公に感情移入できて、悲しい終わり方じゃなくて本当に良かったなって子供みたいに思うことができた。
もちろん読み終えてからはかりゆし58を無限リピート。