神門と嵐
「俺らは紛れもなく兄弟です」
『24×365×23』神門
号泣者続出。。。
心揺さぶる神門の LYRIC の世界観を惜しげもなくダイレクトにさらけ出した怒濤の2時間・・・
初の渋谷ワンマンライブ 全て漏らすこと無く収録し PV、新曲の CD も付いて発売決定!!
2010年2月6日に渋谷 O-nest にて行われたワンマンライヴの模様を完全収録。
二時間以上にも及ぶライブを 1MC1DJ のストイックな構成でやり遂げた。笑顔があり、涙する者までもいた空間。
人生が滲み出たステージングは圧巻。シングル CD もセットになっており、さらにはドリンクチケットが付いていて、なんと本人に渡せばその場で、なんと奢ってくれる!という前代未聞の特典です!!
今作を一言で表現するならば「物凄い塊」(CASTLE RECORDSより)
2010年に発売されたDVDに付いていたCDの話。
1曲目『素晴らしき世界』
HIPHOPという狭い間口ながら確かな最大公約数を共有している仲間と世界への賛歌。
メッセージ性もユニークさもパンチラインも最高の曲。
ヒップホップの定義とか 「あれはヒップホップじゃないだ」とか
いい加減辞めにしませんか ここらでお開きってことにしよう
一生に一度もヒップホップと口にせず死ぬ人もいる中
何度も何度も口にしている俺らは紛れもなく兄弟です
流し聴くところが一切ない何年経っても色褪せない名曲。
ちなみにMVに出ている原田万美さんは現在書道家として大活躍中の万美。
2曲目『S.Sさん』
そしてこの『S.Sさん』。
友達の家で嵐のDVDを観た神門が櫻井翔に対して作った曲。
アイドルがラップをすることへのわかりやすいディスなんかではなく、姿勢も熱意も認め、イマイチなところも指摘しつつ、そして「日本で一番お客さんを呼べるラッパー」であるという事実を自身にも認めさせるように綴っている。
そして2ヴァース目のここに神門の人や対象との向き合い方の真髄があると思う。
今のあなたならどんなラップをしたって満員御礼埋まるでしょう
普通はその状況に満足するけどあなたの場合たぶん逆でしょう
「ラップそのもので左右されない」
「同条件で勝負できない」
それは真剣にラップと向き合うあなたにとっては残酷なこと
ラッパーとして越えたい人より現時点で人呼べるはがゆさ
とにかくあなたが歌う姿に計り知れぬ敬意を感じた
それがとても嬉しかった たぶん聴いているCDもかなりかぶる
俺が大好きなものを同じように好きな人が国民的スター
会ったことがあるわけではない国民的アイドルの歯がゆさや苦悩まで想像して紡ぐ力。考え抜いて色んな向き合い方を試して、このリリックに行き着いたのかな。
ちょっと話が飛びますが、神門は今年3枚も新譜を出していて、『年月』ってアルバムに入っている『成長Ⅵ』という曲にこんなリリックがあります。
神門 - 成長VI Track by ikipedia【Official MV】
分かる奴には分かるってのが一番ださい
ぶっち切ったもんであれば人間に刺さる
曲のラストヴァースですごく印象的で好きな部分。アンダーグラウンドとかポップとかセルアウトとか色んな言い訳を吹っ飛ばすパンチライン。
そして同じようなことを『S.Sさん』でも歌っていた。
今ファンの方はラップをやってる「あなた」に魅力を感じているのを
あなたがやってる「ラップ」に魅力を感じてもらうことが出来たなら
俺らの声にも傾けてくれる その時引き込む力はつけてく
もう分かってもらえんのを「分かる奴にゃ分かる」で逃げたくないのです
100人でもこれだけ楽しいんだ、1000人だとどれだけ楽しいか
「輪が違ェ」なんて言い訳はしない、あなたの世界のこともわかりてェ
十年前から一貫しているスタンスと意志の強さに驚くばかり。
あと、この曲に出てくる「大卒のアイドルがタイトルを奪い取る」って引用は『Hip Pop Boogie』という櫻井翔のソロ曲で、嵐のアルバム『Dream "A" live』の特典CDに入ってる。どうにかして音源欲しい。
この曲のリリックは、本人の考えや思いが丁寧に綴られていて個人的にかなり好きだし、曲は韻シストのメンバーから成るCOUNT FORCEが作っていてめちゃいい感じです。
そして神門のこの2曲は実際に櫻井翔へも届いていたようで(その前から神門のことを好きだった模様)、2012年のライブのMCでも触れている。その様子は嵐ファンの方のこのブログに書かれていてかなり参考になりました。
こういう一連の流れをそれぞれのファンの立場から辿っていくと、片方からでは汲み取りきれなかった思いや事柄が知ることができて面白い。
普通だったら繋がることすら想像できないような立場や状況が異なる両者が、HIPHOPという共通項を通じて影響し合うって、同じHIPHOP好きとしてはかなり高揚する出来事だった。
最後に、神門がリリースした3枚目のアルバム『二〇二〇』は、コロナ禍という二度と経験したくないような特殊な状況の中での、アーティスト、親、一人の人間としての想いと考えが凝縮されていて、今年を体現する名作です。