『犬猿』

クリーンヒットしまくった。

 

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犬猿

「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔が4年ぶりにオリジナル脚本でメガホンをとり、見た目も性格も正反対な兄弟と姉妹を主人公に描いた人間ドラマ。印刷会社の営業マンとして働く真面目な青年・金山和成は、乱暴でトラブルばかり起こす兄・卓司の存在を恐れていた。そんな和成に思いを寄せる幾野由利亜は、容姿は悪いが仕事ができ、家業の印刷工場をテキパキと切り盛りしている。一方、由利亜の妹・真子は美人だけど要領が悪く、印刷工場を手伝いながら芸能活動に励んでいる。そんな相性の悪い2組の兄弟姉妹が、それまで互いに対して抱えてきた複雑な感情をついに爆発させ……。和成役を「東京喰種 トーキョーグール」の窪田正孝、卓司役を「百円の恋」の新井浩文、由利亜役をお笑いコンビ「ニッチェ」の江上敬子、真子役を「闇金ウシジマくん Part3」の筧美和子がそれぞれ演じる。(映画.comより)

 

同じ監督の『空白』を観て面白かったことを友人に話したら、こっちも薦められて。

新井浩文好きだから、昔ちょっとだけ観てたんだけど、その時は冒頭のどんどん破滅に向かっていきそうな流れがなんとなく気分に合わなくて、15分ぐらいでやめてしまっていた。

改めて観てみたら喰らいすぎた。途中で「これはダメだわ…」って思うくらい。

この感情は同性の兄弟や姉妹がいる人は特に抱くはず。疎ましかったり見下している部分もあるんだけど、それと同じくらい憧れや尊敬している部分が普段は認めたくないけど存在する。身内として自虐的に面白おかしく話す分にはいいんだけど、他人から言われるとちょっとイラッとして思わず否定してしまう非合理性も含んでいて。

そして四人の演技が素晴らしかった。新井浩文とニッチェ江上が疎まれる感じになるんだろうなと思ったら、それぞれに光と闇の部分があって、それがコロコロ変化していく感じがずっと飽きさせずにのめり込ませてくれる。初めてニッチェ江上の演技見たけど良かったし、「新井浩文はいいけど、窪田正孝か〜」って思っていたけど、闇落ちした時の目に光がなくてイヤーな感じもハマっていた。死んだ目兄弟として完璧。

暴力も暴言もふるうけど見捨てきれない部分の移り変わりが終盤までしっかり味わえて感動もするのに、最後の最後にあの睨み合いで終わる感じが「兄弟」をめちゃくちゃ表していて最高だった。

観る前にあらすじ調べたら「コメディ」って書いてあって違和感あったけど、理屈じゃない関係性を含めまさにその通りだった。

すごく心に残る作品になったし、願わくば新井浩文の作品をこれからも観たい。