『ぼくは勉強ができない』山田詠美

一生本棚に置いとく作品。

 

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『ぼくは勉強ができない』山田詠美

ぼくは確かに成績が悪いよ。でも、勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ―。17歳の時田秀美くんは、サッカー好きの高校生。勉強はできないが、女性にはよくもてる。ショット・バーで働く年上の桃子さんと熱愛中だ。母親と祖父は秀美に理解があるけれど、学校はどこか居心地が悪いのだ。この窮屈さはいったい何なんだ!凛々しい秀美が活躍する元気溌刺な高校生小説。(Amazonより)

 

今年はこれ以上の作品に出会えるか疑問なくらいに面白かった。

30代目前の今だからこそガンガン響いたとも思うし、高校時代に読んでこんな人たちに憧れたかった気もするし、もっと年取ってから媚びないまっすぐさに眩しくなりつつも読んでみたい気もする。

「あれ、これつまらないわけがない。」と確信させてくれる冒頭で、20年以上前に書かれた高校生の物語とは思えないくらいに今の自分にも当てはまったり、変えてみようと思わせてくれたり、見て見ぬ振りしていたダサいところに光当ててくれたり、とにかく折り目つけるページの数が多かった。

高校生が主人公であっても、あくまでひとりの人間として何を大事にして生きるかっていうことを全ての章で教えてくれて、こういう人たちを「カッコイイ」っていうんだろうなって思う。

心に残ることが多すぎて紹介しきれないけど、自分の価値観だけで否定せずに色んな考えを想像すること、多勢に無闇に迎合せずに拠り所を貫くこと、矛盾してるかもしれないけどそういうことが大事だよなって改めて考えさせてくれる。

何度読んでも新たな発見や感じ方ができる気しかしないので常に一生近くに置いておきます。

 

 

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)