『フラガール』
今更感半端ないけど。
『フラガール』
昭和40年、閉鎖の迫る炭鉱のまちを救うため、北国をハワイに変えるという、起死回生のプロジェクトが持ち上がった!目玉となるのはフラダンスショー。誰も見たことがないフラダンスを炭鉱娘に教えるため、東京からダンサーがやってきた。最初は嫌々ながら教える彼女だったが、生きるためにひたむきに踊る少女たちの姿に、いつしか忘れかけていた情熱を思い出してゆく。しかし世間の風当たりはつめたく、教える相手はドシロウト。果たして常夏の楽園は誕生するのか?オープンの日は迎えられるのか!?
舞台となるハワイアンズは多分(ほぼ)行ったことないし、映画もずっと観てなかったけど、山里結婚をきかっけになんとなく気が進み。
出演者の、かなりごまかしがきかないんじゃないかと思うフラダンスをあれほど見事に表現する姿は圧巻だった。
だけれど、この作品は青春映画の根底にある団結や成長過程への共感も大事な要素だけど、何よりも「女性の立場の変容」と「時代の転換」ってことが一番重要なんじゃないかと思ってる。
その2つの点で特に印象に残っているのが、
松雪泰子の「夢も見られない炭鉱夫よりよっぽどマシよ」ってとこと、
豊川悦司の「時代が変わったからといって、なして(なぜ)俺たちまで変わらないといけない」
っていうセリフ。
否が応でも時代は移り変わり、既存の産業が廃れ、そこに依存していた住民の苦悩ややりきれなさ、それでも変えることができない生き方、その変化に伴ってスポットが当てられる、女性自身の力で稼ぐことへの批判と信念が、作品全体を通して伝わってくる。
また、ハワイアンズが昭和40年から開業しているってのも知らなかったし、同じ県の反対側で、自分が生まれるわずか20年前の暮らしがあんな旧時代的なものっていうのが驚きで、何も知らなかったんだなと感じた。
エンタメ性ももちろんながら、ひとつの日本の歴史の物語としても見ごたえがある作品。