『神さまたちのいた街で』早見和真

読んで良かった。。

 

f:id:sunmontoc:20180225222337j:plain

 

『神さまたちのいた街で』早見和真

父が交通事故に巻き込まれたことをきっかけに、父と母は違う神さまを信じはじめ、ぼくの家族には“当たり前”がなくなった。ぼくは担任の先生に助けを求めたが、どうやら先生にも自分の正義があるらしい。大人たちが信じられなくなったいま、ぼくの「正しい」の基準は、親友の龍之介だけ。妹のミッコを守ることでなんとか心のバランスを取りながら、ぼくは自分の武器を探すことにした。いつか、後悔だらけの大人にならないために―。『ぼくたちの家族』から6年。次の家族のストーリー。あの頃の“痛み”がよみがえる成長の物語。(Amazonより)

 

『イノセント・デイズ』で衝撃をもらった筆者を漁ってみることにした。

ジュブナイル小説としても、宗教をテーマにしたストーリーとしても最高でした。

 

主人公たちも幼く文章も柔らかいのに、冒頭でこれから襲い来るであろう不幸への寒気を感じさせてくれて、また両親を通して文章全体に違和感を感じ、「自分の言葉」とは何かっていうことを疑い始める。

 

新興宗教に対する自分の中の薄気味悪さというか、説明できない悪い固定観念が、文中でうまく表現されていて納得しまくった。父も母も壊れ、窮地に立ち、それぞれが宗教に縋り付いて、元に戻ろうと思えば思うほど泥沼に沈み込み、「家族」が崩れていく。

そんな中でのエルグラーノとマリアとの出会いに、めちゃくちゃ温かみを感じたし、「良かったなー!」と素直に安心できた。その幸運な出会いの中で、エルグラーノが「他者を認められない神さまなんかに価値はない」ってスパッと言い切ってくれることで、どれほど主人公が救われたんだろうと感動した。

 

後半はもはや小学生とは思えない行動・思考をするけど、世間・親に弱くても一振りのカウンンターパンチを見舞わせようとする展開にワクワクした。

宗教に善い悪いの区別があるのではなくて、新興も四大も関係なく、他の宗教(人間)に不寛容になり排斥してしまうことが問題であり、生まれもって与えられた宗教(価値観・考え方)を盲信するんじゃなく、自分の中に疑いの視線を持ち続け、悩んで自分で選択することが大事なんだと、自分自身も多少は持っていたモヤモヤした疑問に対して一つの答えを提示してくれた作品だった。

 

 

神さまたちのいた街で

神さまたちのいた街で

 

 

 

sunmontoc.hatenablog.com