『i(アイ)』西加奈子

やっぱこの人天才だ。

 

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『i(アイ)』西加奈子

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは―。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!(Amazonより)

 

今まで読んだ筆者の作品とは正反対のような、没個性を望み、自分の存在を消していく主人公が新鮮だった。他者からの見られ方・思われ方を慮りすぎるせいか、感受性・共感能力が高すぎるせいか、出自がそうさせるのか、世界中の悲劇を都合良くも悪くも自分のことのように置き換えてしまう。

しかし、没個性を望みながらも、自分自身の存在価値・理由について幼少期・思春期・青年期を通じて悩み続け、物語を通じてリフレインされる言葉に答えを見つけるラストは感動。

様々な小説を読んで学んだことでもあるけど、当事者じゃなくても、蚊帳の外だとしても、「他者を想像すること」は人間に、生きている人間に与えられた特権であり、世界や他者と繋がる強力な手段なんだと改めて痛感。

「想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う」

 

うまく言葉にできない部分が多いのでまた読み返したい。

 

 

i(アイ)

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