『誰もボクを見ていない』山寺香

考え続けなければいけないこと。

 

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『誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』山寺香

2014年、埼玉県川口市で発生した凄惨な事件。少年はなぜ犯行に及んだのか?誰にも止めることはできなかったのか?事件を丹念に取材した記者がたどり着いた“真実”。この罪は、本当は誰のものなのか?少年犯罪の本質に深く切り込んだ渾身のノンフィクション。(Amazonより)

 

 最近観た『MOTHER マザー』に結構ヤラれたので、原案も読んでみたくなり。

言葉が適切でないけどかなり面白かった。

去年までは福祉分野に携わっていたから、背景や状況に多少の理解はあったけど、やっぱり個々の家族の問題には想像してもしきれない、それこそ小説や映画よりも重みがあるんだなと再認識させられた。

作中にあるように、支援機関としてのスピード感や横断的な対応がなかなか難しいってのもわかるし、個人個人がどこまで踏み込んで介入していいか迷ってしまうのもわかる。

だけど、それでは心配しているだけでは当の本人の状況は1ミリも変わらないんだと突きつけられた。

ーどんなに同情したり心を痛めたりしても、行動を伴わない「善意」には現実を変える力はなかったのだ。ー

当の本人が言っているように、一歩だけではなく二歩三歩踏み込んで上げる勇気が綺麗事ではなくて本当に大切。

 

また事件を背景にした分析・考察のところで、子供は親から「経済資本」と「文化資本」を相続し、それがプラスのものもあればマイナスのものもあるという考え方を初めて知った。収入などの経済面だけではなく、そこから波及する生活面についても孤立や犯罪に繋がっていく。

 

ー自立とは多様な依存先があることー

関係機関や 当事者たちだけではなく、社会全体の問題として考え続けていかなきゃいけない。

 

 

 


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