『とんび』

軽い絶望を覚えてしまった。

 

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『とんび』

直木賞作家・重松清のベストセラー小説を、阿部寛北村匠海の共演で実写映画化。「糸」「護られなかった者たちへ」の瀬々敬久監督がメガホンをとり、幾度途切れても必ずつながる親子の絆を描き出す。昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。運送業者のヤスは愛妻の妊娠に嬉しさを隠しきれず、姉貴分のたえ子や幼なじみの照雲に茶化される日々を過ごしていた。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、自分の家庭を築くことはこの上ない幸せだった。やがて息子のアキラが誕生し、周囲は「とんびが鷹を生んだ」と騒ぎ立てる。ところがそんな矢先、妻が事故で他界してしまい、父子2人の生活が始まる。親の愛を知らぬまま父になったヤスは仲間たちに支えられながら、不器用にも息子を愛し育て続ける。そしてある日、誰も語ろうとしない母の死の真相を知りたがるアキラに、ヤスは大きな嘘をつく。(映画.com)

 

原作の小説は人生ベスト3に入ってるし、TBS版のドラマも大好きだったので、めちゃくちゃ期待値高めて公開早々鑑賞。

不朽の名作なのであえて物語を振り返ることはしないけど、ありえないくらい泣いた。ほぼずっと泣いてた。人生で何かを体験してこんな泣いたことない。嗚咽出そうになりながら咽び泣いた。最終的に自分で自分に引くほど泣いてた。俺ってこんなに泣けるんだと驚いた。

個人的な経験値として、何かの言葉がきっかけで揺さぶれることはあったんだけど、それだけではなく、映像のみでそれまでのストーリーや感情の積み重ねがフラッシュバックして感極まるってことが初めてのような気がして新鮮だった。

暑苦しいヤッさんも優しいけどどこか冷静な一面を持っている旭もバッチリハマっていて、脇を固めるキャストも間違いなかった。照雲の新しい解釈が面白かった。

最初から最後まで文句なしだったけど、ドラマ版の特に好きなシーンである、健介が家出した後の海のシーンがなかっことだけが少し残念だったかな。あれって原作にはないオリジナルだったのかな?

昨日は大満足で映画館をあとにして、幸福感に包まれていたけど、今日になってこれからの人生でこれほど泣いて揺さぶられる体験はもはやないんじゃないかと思い始めてきて、軽い絶望感を覚えている。

とにかく老若男女問わず、どの世代にも響く力を持っている傑作だと思う。