『まにまに』 西加奈子

やっぱり素敵な人だった。

 

『まにまに』 西加奈子

嬉しくても悲しくても感動しても頭にきても泣けてくるという、喜怒哀楽に満ちた日常、愛する音楽・本への尽きない思い。『サラバ! 』で多くの人に「信じる勇気」を与えた西加奈子の6年分のエッセイが詰まった一冊。――『まにまに』というタイトルが、私はだいすきだ。「間に間に」と書けば、合間に、適当に、というようなニュアンスがあるし、「随に」は、なりゆきにまかせるさま、という意味があって、「随」は「随筆」の「随」でもある。「マニマニ」って、なんだかかわいらしいおまじないのようでもあるし、「まにまに」と声に出すと、「に」のところで自然と口角があがっている。大げさではなく、かみさまにもらったタイトルだ、と思う。(あとがきより)

 

作品も好きだしテレビ番組で話している姿や、このVOGUEの動画を見たらライフスタイルもかっこ良くてファンになった。こんな暮らし憧れる。


作家で画家、西加奈子の自宅で見つけた、クリエイティブであり続けるための5つのこと。| My 5 Favorites | VOGUE JAPAN

 

本作を読み始めて、まず感じたことは、予想外にも捻くれているということ。

どこか、たりないふたり山里亮太若林正恭)と一緒で闇や毒を多分に抱えていると思う。

そういう要素はありつつ、第1章「日々のこと」では、オチが効いたリズミカルで小気味良い軽快な文章がスイスイページを進めさせてくれる。

「失敗しても、いつかそれを肴に酒を飲もう」という言葉など、クスッと笑える世界観の中にも人生の教訓になるようなエピソードや言葉があって、心に残るものが多い。

そして第2章「音楽のこと」では、作者の人生規模で音楽と密接に関わっているんだなということがうかがえる。音楽で得たものを血肉にして自分自身の幹を太くしていっている感じ。

最後の第3章「本のこと」では、それまでの日常生活のユーモアさや音楽という自身が純粋に好きな文化への愛着とは異なり、ある種鬼気迫って訴えかけてくるものがあり、やはり物書きであり人生そのものなんだなと感嘆した。それまで笑顔で喋っていたのが途端に真顔になった感じ。

エッセイ自体の構成としても章が進むにつれてページ数が減っていき、削ぎ落として純度が高くなっていってるような印象を受けた。

個の尊重や多様性を訴えかけてくる作品はもちろん、エッセイやライフスタイルも

やっぱり大好きな作家です。

 

 

まにまに (角川文庫)

まにまに (角川文庫)

 

 

 

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