『お探し物は図書室まで』青山美智子
これもいい本だった。
『お探し物は図書室まで』青山美智子
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか? 人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた町の小さな図書室。悩む人々の背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。(Amazonより)
『木曜日にはココアを』を手始めに読んでみたら面白いし読みやすいしで期待値上がってたけど、これもまた良かった。
『木曜日〜』はどちらかというか個々人の(人間関係含む)問題にスポットが当てられていたけど、今作は社会との、自分との、人生との繋がり方がメインになっている。
そして簡潔で、それ故最短距離で心に刺さる問いかけやメッセージが散りばめられている。
何が起きるかわからない世の中で、今の自分にできることを今やってるんだ。
何を探しているのかって…もてあましている夢の置き場かもしれない。
たとえば十二個入りのハニードームを十個食べたとして、そのとき箱の中にある二つは「残りもの」なんでしょうか。
人と人が関わるのならそれはすべて社会だと思うんです。接点を持つことによって起こる何かが、過去でも未来でも
わたしはわたしを退いたりしない。これからは、好きなものを大切に集めていくのだ。わたしだけのアンソロジーを。
社会に出ている人なら、自分に少し重なるような、共感を抱くような物語が各編の中から見つかるかも。
そして、司書がキーマンで、舞台が図書室という本好きにはたまらない設定で、押し付けがましくなく、きっかけや気づきを書く登場人物に与える展開は毎度素晴らしかった。
どんな本もそうだけど、書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ。
主人公たちのように、なにか社会でつまずきや引っかかることが合った時にはふとまた開いてみたくなるような作品だった。