『天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 』知念実希人
より泥臭く。
『天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 』知念実希人
炭酸飲料に毒が混入された、と訴えるトラック運転手。夜な夜な吸血鬼が現れる、と泣きつく看護師。病室に天使がいる、と語る少年。問題患者の巣窟たる統括診断部には、今日も今日とて不思議な症例が舞い込んでくる。だが、荒唐無稽な事件の裏側、その“真犯人”は思いもよらない病気で…。破天荒な天才女医・天久鷹央が“診断”で解決する新感覚メディカル・ミステリー第2弾。
前作と比べて、エピソードが1つ減ったこともあり、独立した編といえども一冊の物語としての強度は増している。
他のシリーズでもそうだけど、同じような文章を使用してプロローグをラストに回帰させるという手法は、冒頭ではわからなかった心情や意味を、より深く理解させてくれるから好き。
今作はストーリーごとの、奇特な病気に強く惹かれるというよりも、鷹央の人・医師としての脆さや弱さがより際立ち、それらを乗り越える不器用な人間臭さが強く心に残った。また、小鳥との関係性というか絆もより強固なものになっていく。
後のシリーズを通して、2人がどんどん成長していくのかなと期待させてくれる。
次のシリーズも楽しみ。
天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 (新潮文庫nex)
- 作者: 知念実希人,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/02/28
- メディア: 文庫
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