『書きたい生活』僕のマリ

”いつも頭の中で弾けて浮かぶ言葉たちを並べているあいだのことを、幸福と呼ばずになんと呼ぼう”

 

『書きたい生活』僕のマリ

ちっぽけであたたかな日常ほど忘れたくない。
書き留めておくことで、きっとまた前に進める。
そんな静かな決意とともに放つ、作家としての新たな一歩。
『常識のない喫茶店』の正統な続編にして完結編、ついに刊行! 

前作『常識のない喫茶店』で衝撃的な面白さを感じた著者の待望の続編にして完結編。(Amazonより)

 

 

読み始める前は、前作同様の奇天烈な日々、みんなが忘れかけていた自分自身を守るという正義のもとに理不尽な客に立ち向かう清々しさを期待していた。

 

でも今作にはそれよりも、著者の、文章を綴ることに対する喜びと幸福が表現されており、いかに精神的な太い柱になっているかがよくわかった。

 

目にも刺激的な日々というより、30歳前後の女性としての何気ない、誰にも起こりうる日常が、丁寧で感受性豊かな表現で書かれており、より著者の作家としての素敵さを感じることができる。

”海辺で見つけた貝殻のような日々だった”という表現なんて、理屈抜きで脳の感覚が「めっちゃ良い」って言ってる。

 

また、穏やかな日々の中にも、前作にあったような違和感に対する冷静な分析は健在で、特に「子供を産むこと」への周囲から期待されることと自分で願うことの違いのところ同姓ではないけれどすごく共感できた。

 

これからもずっと著者の作品を読んでいきたくなることが確信に変わった作品。

 

 

 

 

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