『大きなハードルと小さなハードル』佐藤泰志

”世間の眼などどうでもよかった。鳥は夜に眠り、啼かないものだ、と教えてくれる世間など。”

 

『大きなハードルと小さなハードル』佐藤泰志

生と精神の危機をひたむきに乗り越えようとする表題作はじめ80年代に書き継がれた「秀雄もの」と呼ばれる私小説的連作を中心に編まれた没後の作品集。作家・佐藤泰志の核心と魅力をあざやかにしめす。(Amazonより)

 

 

作品の空気感みたいなもので言えば、一番クセになっている著者。

 

今作も男女や家族の3つの短い物語から、カラッと晴れてはいないけど雨でもない、それでいてジトっとともしていないような、独特の空気を感じとれた。

 

どの作品も明るく朗らかって感じてはないし、早々特別なことがあるわけでもないけど、日常生活の些細な機微がきっかけとなり、微かなこれからへの希望を見出していた。

 

長い時間をかけて、この人の物語をできるだけ多く読んでいきたい。

 

 

 

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