『ドミノin上海』恩田陸

久しぶりのこの感じ。

 

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『ドミノin上海』恩田陸

イグアナが料理されれば盗賊団が上海に押し寄せ、そこに無双の甘党が上陸。風水師が二色に塗り分けられ、ホラー映画の巨匠がむせび泣くと秘宝『蝙蝠』の争奪戦が始まった!革ジャンの美青年がカプチーノをオーダー、一瞬で10万ドルが吹き飛んだら、上海猛牛号で渋滞をすりぬけ、まぁとにかく寿司喰寧。歯が命のイケメン警察署長が独走し、青年が霊感に覚醒したとき、パンダが街を蹂躙する!張り巡らされた魔術に酔いしれよ!圧巻のエンタテインメント。(Amazonより)

 

前作『ドミノ』も好きで、ずっと読みたかったやつ。

心情もメッセージ性も時代背景も全部無視して、作品を読み進める純粋なシンプルな楽しさ以外はなんにも考える必要がないこの感じ、めちゃくちゃ楽しい。

膨大な数の人物が登場し、どんどん視点が切り替わっていき、無関係のように思えていたシーンがだんだんと繋がりを見せていく。そして、極限までそれぞれの物語が膨れ上がった後に、収斂していく後半はやはり見事。ジェットコースターのように高さと勢いをつけたあとに思いっきり加速していく感じ。

また装丁や登場人物の容姿がコミカルで、上海を舞台にしたこのドタバタ劇に妙に合っていた。

前作と登場人物かぶっているけど忘れちゃったのでもう一度読み直そうかな。

 

 

ドミノin上海

ドミノin上海

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: 単行本
 
ドミノ (角川文庫)

ドミノ (角川文庫)

 

 

 

『南方熊楠』唐澤太輔

この知らないことを学んでいく感覚、久しぶりだった。

 

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南方熊楠 -日本人の可能性の極限- 』唐澤太輔

百科事典を丸ごと暗記、二十以上の言語を解した、キューバ独立戦争参戦といった虚実さまざまな伝説に彩られ、民俗学、生物学などに幅広く業績を残した南方熊楠。「てんぎゃん(天狗さん)」とあだ名された少年時代、大英博物館に通いつめた海外放浪期。神社合祀反対運動にかかわり、在野の粘菌研究者として昭和天皇に進講した晩年まで。「日本人の可能性の極限」を歩んだ生涯をたどり、その思想を解き明かす。(Amazonより)

 

以前読んだ、『1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365』で初めて存在を知り、「日本人の可能性の極限」という中学二年生いまだ引きずってるやつは惹かれることこのうえない異名に興味を持ち。あと単純に名前かっこいい。

 

南方熊楠に関する本はいろいろ出ているっぽいんだけど、この作品で何度も繰り返し訴えかけているのは、対象に対する「極端さ」と「距離感」。

百科事典を丸暗記し、大英博物館で暴力事件を起こし、20以上の外国語を理解し、在野の研究者でありながら天皇にご進講し、キューバ独立戦争に参戦…逸話の字面だけで思い浮かべたらどんな奇天烈なぶっ飛んだ人なのかなって思ってしまう(実際強烈だったんだろうけど)。

 

そこには対象である粘菌へのほとばしる詩的な情熱と、極端な距離感があった。

熊楠は対象をあるがままに包括的に捉えようと、もしくは生命体と一体となろうとするほど没入し、対象そのものの内部から直接観ていた。

しかし周りが見えなくなるほど内在化する一方、普通では考えられないほど対象から逸脱する行為もしてしまう。そして、この逸脱こそ世間や周囲に馴染めず、他者に「寄る辺がない」と思われてしまう要因であった。

彼と対象との距離は自己と他者が全く分離するほど離れているか、ピッタリと合わさってしまうほど接近しているかのいずれかという極端さであった。

そしてこの「極端さ」は「事の学」や「南方曼荼羅」へと発展していく。

自己(心)と他者(物)が共存し交わる「事」の領域についてこそ、始めに知らなければならないと考えた。

客観的には外側からだけでは判断できない生命体を主観的に内側から見ようとし、彼にとって顕微鏡で粘菌を観察するということは、微細な世界に広がる無尽蔵の多様さを持つ「曼荼羅」を自分の目で確かめていくことであった。

繰り返しになるが、彼は他者と近すぎず遠すぎない「適当な距離」にとどまることができなかった。しかし、そう在ったから、他者との距離が極端に遠くなるからこそ、逸脱した思考、「エコロジー」のような他者に囚われない新しい考えを生み出すことができた。反対に他者との距離が極端に近くなり、内部から直観することができるからこそ、粘菌の生態より、「生と死の世界を簡単に分断することなどできない」、「生命現象を観察する者の立場は絶対的なものではない」という考えを見いだせた。

 

うまくまとまらないし、ちゃんと理解できていないこともたくさんある。

それでも、世間には馴染まなかったかもしれないが、愛し愛される存在がいて、認めてくれる人もいて、狂ったほどに没頭し、時には酔っ払って失態を犯し、っていう天才や異常者ではなく、めちゃくちゃ人間くさい人だということが伝わってきた。

これからもいろいろ読んで知っていきたい。

 

 

南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)

南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)

 

 

『自転しながら公転する』山本文緒

文句なしの面白さだった。

 

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『自転しながら公転する』山本文緒

東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。(Amazonより)

 

タイトルとあらすじに惹かれてて、タイミングで読みたいなと思ってたら、本屋大賞にもノミネートされたとのことで急いで購入。

初めて読む作家さんだったけど、今まで読んでこなかったことに後悔している。

 

東京でアパレル関係に勤めていたけど田舎にUターンしてきた32歳。自分自身の状況と被るところが多くて没入しやすかった。

 

タイトルはどこか不思議だし、もっと女性に多そうな恋愛や仕事の悩みがメインなのかなと思っていたら、全然エンターテイメントしていなくてとことん現実的。両親とともに地方に生きる32歳独身の姿を足しすぎず引きすぎず描写していると思う。

 

降り掛かってくる悩みもメリハリがあったり、急展開を迎えるようなものであったりはせず、とことん地味なそれでいて簡単には逃れられなく、かと言って絶望しっぱなしってわけでもなく、他者と生活する上でずっと付きまとってくるようなものをリアルな温度で表現されている。

 

序盤の主人公と両親のそれぞれの視点からの描写は、お互いに思いやっているけどどこかすれ違っているというか、相手の意図するところからどこか見当違いの場所に行動が着地しているような感じがする。また、更年期障害によりコロコロと変わっていく心理描写もおもしろい。

 

あと、エピローグの風景が誰の視点なのか読み始めてもわからず、途中で「ああそういうことか」とわかった気になっても実はそうではなくて、確固たる予想が生まれるまでに陥るグルグルと悩ませてくる感覚も心地いい。

 

両親との、交際相手との、職場での、どん底ではないけど一歩進んで二歩下がる感覚がずっと作中通して続いていく感じが高揚や興奮とは別物の中毒性を与えてくれる。そんな環境でも日々は続いていくし、向かい合っていくしかない。

Dragon Ash降谷建志が、「同じ場所にいるように感じたとしても螺旋階段のように上には昇っていってる」てな感じのことを言っていたのを、全く同じ状況ではないけど思い出した。

 

作中のきっかけになりそうな場面を過ぎるたびに、「ここから好転していくのか」と期待してしまい、そしてそう簡単は行かず、最後の最後までわかりやすい幸福は訪れない。それでも、ずっとそんな登場人物たちを見守ってきた感覚になり、立ち食い寿司屋での会話には感極まるものがある。

都は彼に触れようと手を伸ばした。明日死んでも百年生きても触れたいのは彼だけだった。

 

 

自身の問題に悩みながら自転し、周囲との関係に頭を抱えながら公転していく。そこには良いことよりも苦しみのほうが多いのかもしれない。それでも百年先まで自身と向き合い、周囲とともに生き抜く覚悟を持った人生は素晴らしい。

「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ」

 

 

 

自転しながら公転する

自転しながら公転する

 

 

『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子

新たな医療ドラマを観た。

 

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『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子

女医・菜々子が、市民会館のステージに立つ患者をサポート!「赤黒あげて、白とらない」末期癌のお笑い芸人が、人生最後の演芸会を企画。「屋根まで飛んで」白血病の少年が、音楽発表会に出たくとハンストを。「転ばぬ先の、その先に」玩具メーカー社長が、歩行困難を押して壇上で挨拶を。「春歌う」演歌歌手のコンサート。招待客は全員75歳以上の後期高齢者で。「届けたい音がある」和太鼓サークルのメンバーは、慢性疾患持ちぞろい。「風呂出で詩へ寝る」アルコール依存症で悩む、市民合唱団の指導者は…。現役医師のリアル医療小説!(Amazonより)

 

舞台に立つ人をサポートする「ステージ・ドクター」の物語。存在はちょっとは知っていたけどスポットを当てて注目するのは初めてだった。

 

作者の物語って、医師ならではのリアルさや切迫感、ひしひしと伝わってくる悔しさなどが醍醐味の一つだと思ってたけど、今作はどこか牧歌的というか、いい意味で焦燥によるスピード感がなく、じっくりと読むことができた。

 

ステージに立つ人を患者としながらも、相手はほとんどアマチュアというか市民。だからこそその人たちがどんな想いや信念を持って、病気の体に鞭打って舞台に立とうとしているか、混じりっ気のないシンプルな熱量で伝わってくる。それはプロではなく損益や今後のこと、周囲のことを気遣わなくていいというどこか捨て身なような姿勢によって増幅されているのかもしれない。

菜々子が第一章で想うこの言葉が印象的。

「ヒラメ師匠は患者としては零点だったかもしれない。けれど安静にしていれば百点だったのだろうか」

作者が終末期医療に関わっていることもあるからか、このなにも顧みなくていい選択のような心理描写も良かった。

 

それに対する菜々子は医師としての技術的な側面よりも、今作では医師としての心の強さに焦点が絞られていたと思う。

医療ミスのようなものを訴えられ、自身も心に深く傷を負ったという割とあるパターン。だけど、芯の強さを取り戻していく過程が、医療現場よりも練習場や舞台上のやり取りで強調されているから、医療ドラマというよりも純粋なヒューマンドラマとして再起していく姿を楽しむことができる。

また、物語通して描かれる梨花への悔いについて、最終章でどんでん返しが起こったと一瞬こちらに期待させながらも、あえてはっきり断定することはせず、苦味を取りきらないまま終わりを迎えるところも、現実感が伝わってきてゾクッとした。

 

作者の新たな側面を見れて、これからの作品も楽しみになった。

 

 

ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間

ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間

 

 

 

sunmontoc.hatenablog.com

 

 

『メモの魔力』前田裕二

想像以上に奥深かった。

 

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『メモの魔力』前田裕二

僕にとってメモとは、生き方そのものです。メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。メモによって夢を持ち、熱が生まれる。その熱は確実に自らを動かし、人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。誰にでもできるけど、誰もまだ、その魔力に気付いていない「本当のメモの世界」へ、ようこそ。僕にとってメモとは、生き方そのものです。メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。メモによって夢を持ち、熱が生まれる。その熱は確実に自らを動かし、人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。誰にでもできるけど、誰もまだ、その魔力に気付いていない「本当のメモの世界」へ、ようこそ。(Amazonより)

 

ここからは備忘録。

 

●メモは二種類

①記録のためのメモ

「過去のファクトを思い出す」という余計なことに思考の時間を割かないために、メモをする。

②知的生産のためのメモ

「人間にしかできないことに」集中するため、新しいアイデアや付加価値を自ら生み出すことを意識して

 

●メモの恩恵

①アイデアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)

②情報を「素通り」しなくなる(情報獲得の伝導率向上)

③相手の「より深い話」を聞き出せる(傾聴能力の向上)

④話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)

・構造化能力

議論の全体像が常に俯瞰で見られて、今どの話題を、どんな目的で(何に向かって)、どこまでは話しているのか、ということを(なるべく瞬時に)把握する力。

⑤曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる(言語化能力の向上)

・「やばい」から2歩踏み込む

言語化の過程で思考はどんどん深くなる。思考→言語→メモ

 

●「ファクト」→「抽象化」→「転用」

①インプットした「ファクト」をもとに

②気づきを応用可能な粒度に「抽象化」し

③自らのアクションに「転用」する

「ファクト」を書きっぱなしにしていては、そこから何も生まれない。必ず一度自分で書いたー少なからず「興味深い」と感じて、世界から自分が切り取ったーファクトをどこかで振り返ってそこからの気づきを「抽象化」する。そして、アクションに「転用」する。

 

・メモをとるときは、「緊急度」ではなく、「重要度」で色分けする

 

・「今日は時間がなくて、手紙が長くなってしまいました」(パスカル

→時間がなくて十分な抽象化ができなかったから、手紙が回りくどく、本質から遠ざかり、長くなってしまった

 

●抽象化=具体的な事象の本質を考えること

・抽象化→他の具体に落とせる

・「思考を深める=抽象化」すると、再現性、汎用性が生まれる

・「世の中でうまくいっているもの」や「自分が素直にいいと感じるもの」を見たときに、素通りせずに、キャッチして抽象化してみる

 

言語化能力→「言語化されていない深層意識」に目を向けてみる

 

言語化がうまい人

①アナロジー力が高い

アナロジー:一見無関係なものの間に何らかの共通点を見つけて、結びつける思考法

②抽象的な概念に名前をつける力が高い

 

●自分を一歩引いて客観視する癖

・「我見」と「離見」:自分側の「我見」を「離見」と一致させていく

・離見を意識することで、全体の構造や、自分や物事に秘められた本質に気づきやすくなる

 

●メモによる自己分析

意識の具体化×抽象化

①自分の意識に目を向ける(具体化)

②Whyで深掘りする(抽象化)

 

 

●モチベーション

トップダウン(逆算)とボトムアップ(熱中)、両方を併せ持つことが大事

 

●「SMART」:ゴール設定のチェック機構

Specific:具体的である

Measurable:測定可能である

Achievable:達成可能である

Related:関連性がる

Time:時間の制約がある

 

●自分と「アポ」をとる

夢を叶えるためには「緊急ではないけれど重要なもの」に向き合う時間をとることが大切。

 

●「ライフチャート」で人生を水平に捉える

「垂直方向のエピソードや価値観の深掘り」に「水平方向の全体把握」を掛け合わせる

 

●「未来において、過去のどの情報が重要になるか」なんて、実際に未来にならなければ判断できない。「明日何が大切な情報になるか」は今日はわからない。

 

●「時間をどう使うのか」というところで、自分の人生の勝算(人生のモチベーションの根幹に関わること)につながる選択をすべき。

 

 

 

ライフハック系かなと思ったら、それよりも更に奥深くまで書かれていて面白かったし、全く作者のこと知らなかったから個人的なエピソードも興味深かった。

もう一度ノートとペンを持ち歩く生活を始めよう。

 

 

 

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

 

 

『人間』又吉直樹

こういう物語の感想をうまく表現できるようになりたい。

 

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『人間』又吉直樹

僕達は人間をやるのが下手だ。38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?初の長編小説にして代表作、誕生!!(Amazonより)

 

前半は芸術をテーマにしてることもあり、なかなか共感や没入しづらく、でも全部言ってることがわからないわけじゃなく、登場人物のだれかには自身の一部を感じるような劣等感や葛藤や人間臭さがある。

影島(奥)との再会を境にして、後半は主人公個人の物語から、血脈を遡り家族の物語になる。読み終わってみれば影島との語りは、主人公の自問自答であったような気もする。あそこまで他人と比較した自分についてのストーリーだったのに、家族を顧みることで子どもにシンプルな戻っていくような感覚になっていく。それに比例して展開やモノローグもわかりやすくなっていったような気もする。

一回では到底読み解ききれなかったし、色んな描写や問いかけがあったんだろうなとも思うから時間を置いてまた読み直したい。

笑いが軸になくても、クスッと笑ってしまうような会話のテンポやワードチョイスが改めて流石だなと感じた。

 

 

人間

人間

  • 作者:又吉 直樹
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本
 

 

『「うまく」「はやく」書ける文章術』山口拓朗

個人的備忘録。

 

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『「うまく」「はやく」書ける文章術』山口拓朗

読んだその日から実践できる!文章作成のプロが伝授する、超・文章力上達法。メール、ブログ、Facebook、メルマガ、論文、セールス文、社内レポート、企画書…あらゆる文章がスラスラ書ける5つのステップ!(Amazonより)

 

●うまい文章=目的を達成できる文章⇨読む人に貢献すること

文章「書く人」のためにあるのではなく、「読む人」のためにある。

 

●文章作成とは「読む人の疑問(興味・関心)に答えていく作業」

 

●メモの習慣化

思考は書き出さなければ、単なる「もや」にすぎない。まだ存在していない状態。

「メモ」をするとは、曖昧模糊とした「もや」に形を与えることにほかならない。

・印象深い出来事や、自分の感想・気付きなどを積極的にメモする

・メモを眺めながら、無関係な情報同士を見比べる(共通点や相違点を探したり、情報同士を結びつけたりする)

 

●情報は2種類

「あっち(周辺的・客観的)情報」と「こっち(自分に中にある)情報」は、どちらか一方ではなく、両方をそろえておくことが大事。

 

●「あっち情報」の集め方

・一次情報(加工や編集をしていない情報)の集め方がうまくなるだけで、文章作成の腕は格段に上がる。

・話を聞く作業は「仮説→検証」の繰り返し

・有益な情報を得るためには、ときに相手の無意識下に沈んでいる情報を浮き上がらせる「攻めの質問」も必要

・インターネットでの情報収集では、「目的意識(アンテナ)」と「仮説」が必要

 「仮説&予測を立てる→検索する→検証する」

 

●「こっち情報」の集め方

・「なぜ?」と自問自答する

 ひとまずでも構わないので、答えを出してみる→「気づき」の思考が活性化する

・「そもそも」+「なぜ」→大きい深掘り効果

 普段から「そもそも」を使って、自身の感情や考えを棚卸ししておくと、「こっち情報」がストックされやすくなる。

 

●情報は「もつ」より「使う」が重要

・情報の価値は、アウトプット(文章作成含む)次第でいくらでも変化する

・情報の価値は「あるか、ないか」ではなく、「生み出せるか、生み出せないか」にかかっている

 

●読者ターゲットのニーズ把握

・ライフスタイルのなかには、重要なニーズが隠れている

・読者ターゲットと同じ行動を取ることで手に入るのは「実感」という価値ある情報

 

●読者の反応を決める

文章を読む人の反応を具体的に決めることで、目的の達成率が飛躍的に高まる。

「文章の目的は、深く踏み込む→読者の反応を決める」

 

●メッセージをひとつにしぼる

ブログは1記事=1メッセージ

 

●物語フォーマット

物語は「どこかにあるかもしれないもの」ではなく、書き手自身が「生み出すもの」

生み出すためには、情報収集同様に「物語のタネ」を拾うアンテナを張っておく必要がある。

 

SNS

●正しいことを書こうとしない

 

●五感を書く

 

●会話文を挿入する

発言の本質を伝えるためには、ときに事実をデフォルメして意訳することも大切

 

●「エモーション×ロジック」で読む人の心を動かす

エモーション(情動)とロジック(論理)のどちらかひとつでは不十分

 

●自問自答しながら書く

読者の代わりに自問するという意識

 

●情熱で書いて、冷静で直す

書くときは情熱的に一気に書き上げて、書き上げたあとで冷静になって読み返す

・「冷静で直す」のは、文章から余分な「ほてり」を取るため

・消えるのは個性ではなく、「個性だと思い込んでいたもの」

 

●「文章ダイエット」でスリムになる

・接続詞の中でも「しかし」「ところが」「だが」「とはいえ」など、話の流れが反転する「逆説の接続詞」は残したほうが良い

・削っても意味が通じるケースが多いのは「だから」「それで」「そして」「それから」

 

●一文一義を意識する

 

●副詞を乱発しない

 

●修飾関係を適正化する

・修飾語は被修飾語の直前に置く

・「長い修飾語」は先、「短い修飾語」はあとにする

・「節」を先にして、「句」をあとにする

・「大きな状況」を先にして、「小さな状況」をあとにする

 

●読点(テン)を正しく打つ

・カギ括弧の代わりに打つ

・ひらがな(カタカナ/漢字)が続いて読みにくい時に打つ