『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉

不思議な読み心地だ。

 

 

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『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉

7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。(Amazonより)

 

各章を通じて徐々に徐々に、登場人物たちとともに周りのひとたちに対する理解を深め、それぞれが変わっていく勇気を見つける様を見届けているような気分になる。

こういうわかりやすい起伏があるわけでもなく、心情の些細な変化を楽しむような物語についてうまく表現できるようになりたい。。

そしてその些細な積み重ねと少しずつの成長を感じたからこそ、最終章の印象が大きくなる。

ギフが言った「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」と、

夕子が言った「動くことは生きること。生きることは動くこと」

そして一樹が鼓動に感じた「自分は、今、間違いなく生きている」という思いは全て繋がっているんだなと思った。