『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2 』宮口幸治

”頑張れないからこそ支援しないといけない”

支援したくないような人こそ実は支援の対象である。

 

『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2 』宮口幸治

「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張れないがゆえに、切実に支援を必要としているのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。Amazonより)

 

 

好きだった作品の続編。

 

sunmontoc.hatenablog.com

 

今作は支援者に関する気づきが多かった印象。

 

【作中抜粋】

・巷に溢れている「頑張らなくてもいい」「そのままでいいよ」という風潮や言葉は、それまで頑張ってきた人たちに対する労いであり、「”そんなに”頑張らなくていい」という副詞付きの言葉であり、何もしなくていいという言葉ではない。

・「みんなと同じにならなくていい」という考えも、本人自身もそう希望する場合に限り有効なものであり、支援される側の人たちの心の奥底には”みんなと同じになりたい”という気持ちが必ずあると思う。

・「頑張れない人」というのは「認知機能の弱さを持った人」であり、見る・聞く・想像するといった力が弱いため、いくら頑張っても入ってくる情報に歪みが生じてしまい、結果が不適切な方向に向いてしまう。頑張るためには、見通しを持つことが大切であり、”探索の深さ”が必要。

・「頑張りたい」というのは”自己実現の欲求”であり、大多数の人たちが食べ物や住むところがない状態だったら仕事を頑張れないように、勉強のやる気がない、頑張れないというのは虐待のサインの一つ。

 

●「頑張れる」を支える3つの基本は、①安心の土台 ②伴走者 ③チャレンジできる環境

①安心の土台

不安や不快に気づけるか、相手が頼りにできる支援者になれるか。本当の意味での支援とは、その少年が期待通りに更生しようが、一方で期待に反して犯罪を繰り返そうが関係なく、ずっと支援をし続けること。

②伴走者

達成感には他人からの承認が不可欠であり、自己評価を上げるには他者から評価されることが絶対に必要。

達成感も自信も成し遂げたこと自体からではなく、成し遂げたことに対して周囲が言葉をかけてくれる、評価してくれることがないと出てこない。→やる気=達成+”承認”

③チャレンジできる環境

”頑張ったら支援する”は”安全運転できたら電気自動車を充電させてあげます。もし事故を起こしたらもう充電しません”と同じ。→成功を支援の条件にしない

 

 

 

「無償の愛」という言葉で表すのは都合が良すぎるけど、人を、ましてや他人を支えるということは並大抵ではない根気と、感情や熱量だけではなく知識に裏打ちされたコミュニケーションが必要なんだと感じた。前作ももう一度読み直したい。