『SOSの猿』伊坂幸太郎

予想外の内容。

 

f:id:sunmontoc:20180110233806j:plain

 

『SOSの猿』伊坂幸太郎

三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と、ひきこもりを悪魔秡いで治そうとする男。奮闘する二人の男のあいだを孫悟空が自在に飛び回り、問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か?そもそも答えは存在するの?面白くて考えさせられる、伊坂エンターテインメントの集大成。(Amazonより)

 

最初の2Pで「これめっちゃ読み易い」と思ったのに、読み進めていくうちに「え?」って内容と展開に。

古典?と交錯して時間軸の仕掛けもあり、全部は一読で理解できない感じ。こういうストーリー読むと、「小説家ってすごい」って改めて思う。

伊坂幸太郎特有の『素直に認めたくない愛すべき人』ってわけじゃなくて、単純に登場人物同士が、意思疎通というか共感があまりできていない感じがして、新鮮だしそこがまた面白かった。

 

ずっと霧がかったような感じで進むんだけど、その中でも心に引っかかるセリフは多かった。

『歌ってのはね、くだらないメッセージじゃなくて、もっと漠然とした隕石みたいなものをぶつけるものなんだ。だから、歌の意味とかメッセージを探ろうとする奴はね、だいたい失敗するよ。もやもやした隕石を言葉になんてできない』(P242)

とか、

『どんな親だって、子供の未来は心配なんだよ。たとえば、わたしが漫才しないで、あなたの心配ばかりしてたらどう思う?鬱陶しくない?』(P275-276)

とか。

 

なかなか内容は簡単に没頭できるわけではないんだけど、徐々に理解できていく感じも読んでて楽しいし、最後の締めのセリフが爽やかというか子供っぽくて好きでした。

 

 

 

SOSの猿 (中公文庫)

SOSの猿 (中公文庫)

 

 

『東京カウガール』小路幸也

ぱっと見、酪農の話かと思った。

 

f:id:sunmontoc:20180106151219j:image

 

『東京カウガール』小路幸也

その夜、カメラマン志望の大学生・木下英志は夜景を撮っていた。人気のない公園で鈍い音を聞きつけカメラを向けると、そこには一人の女性がいた。彼女は屈強な男たちを叩きのめすと、車椅子の老人を伴い車へと消えた…。後日、改めて画像を見た英志は気づく。―似ている。横顔が、あの子に。カメラが捉えた不可解な事件に隠された哀しい過去とは?(Amazonより)

 

作者にしては、だいぶ血生臭い感じで骨の軋む音が聞こえてそうな描写もあって意外だった。

 

ただやっぱり小路幸也らしく、どこか達観しているような主人公の考え方は読んでて感心するし、話は重いのに軽く読める文体はさすがでした。

 

エピソードが限られても、場面は変わらず地続きになってる進行の仕方はこの人ならではで、よりスピード加速させる。数字で区切ってるところと☆マークで区切ってるところがあるのはなんかの意図があるんだろうな。

 

残りページ数を気にしながら面白いけど、どうやって収束させるんだろうって期待膨らませといて、大きな展開やどんでん返しなくすっきり爽やかに終わるラストもなんか微笑ましくて好き。

 

ホント誰かのために何かしたいっていう、思いやりがある人たちしか出てこなくて、こんな人たちに囲まれて暮らせたら幸せだろうなーって思う。主人公の就職した会社が興味深い。

 

初めてスマホでブログ書いたけどめっちゃ楽だし意外にも文章出てくる。

 

 

東京カウガール

東京カウガール

 

 

 

『マスカレード・ナイト』東野圭吾

これも面白かった。

 

f:id:sunmontoc:20180103205010j:plain

 

『マスカレード・ナイト』 東野圭吾

若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!?あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び。(Amazonより)

 

去年から久しぶりに東野圭吾を読み始めたら、『マスカレード・ホテル』にハマってしまい、『マスカレード・イブ』経由して、最新刊に。

そんなページ数少ないわけではないのに読み易くてサクサク進んでいく。

今回も理系トリックとか出てくるわけではないけど、『仮面』がテーマであるように、宿泊者誰もが二面性や隠している真実の顔を持っていて、終盤にかけてどんどんそれが表れて行くところが面白い。

というか、犯人が捕まるまではほぼ仮面が剥がれないから、どんなオチなのか推理なんか全くできなかった。素直にいい感じに騙されます。

あと思ったのが、『マスカレード・ホテル』の時よりも、山岸は同僚に対する厳しさや責任感が強くなっている感じがして、新田は逆に度量というか、捜査以外関係ないという姿勢から許容範囲が大きくなっている感じがして、成長したんだなと近所のおじさんみたいな感覚になった。

新キャラ氏原の、「お客様を全員を信じて、全員を疑う」的な発言がプロフェッショナルだなと思ったし、接客業の一種の行き着く先なのかなと。

仮説を立てたり、誰かを疑いながら読んでも、多分当たらないので、素直に物語に沿って、盛りだくさんすぎる要素に頭パンパンになって、終盤の風船から空気が抜けるようにスッキリする快感を味わった方が楽しめるかと。

 

実写化木村拓哉は年齢離れすぎじゃないかなとも思うけど、再現不可能な話じゃないと思うから、ホテルマンたちの所作が完璧な状態での映像を観てみたい。

 

 

マスカレード・ナイト

マスカレード・ナイト

 

 

 

マスカレード・イブ (集英社文庫)

マスカレード・イブ (集英社文庫)

 
マスカレード・ホテル (集英社文庫)

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

 

 

 

sunmontoc.hatenablog.com

sunmontoc.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

『愚行録』

新年一作目。

 

f:id:sunmontoc:20180102211913j:plain

 

『愚行録』

エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そして可愛い一人娘の田向(たこう)一家
絵に描いたように幸せな家族を襲った一家惨殺事件は迷宮入りしたまま一年が過ぎた。
週刊誌の記者である田中は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。
殺害された夫・田向浩樹の会社同僚の渡辺正人。 妻・友希恵の大学同期であった宮村淳子。 その淳子の恋人であった尾形孝之。
そして、大学時代の浩樹と付き合っていた稲村恵美。
ところが、関係者たちの証言から浮かび上がってきたのは、理想的と思われた夫婦の見た目からはかけ離れた実像、
そして、証言者たち自らの思いもよらない姿であった。
その一方で、田中も問題を抱えている。妹の光子が育児放棄の疑いで逮捕されていたのだ――

 

なんとなく、『怒り』とかと同じ感じなのかな、と思ってレンタル。

メインは関係者への取材なんだけど、揃いも揃って一癖というか愚かさがあって、主役たちだけではなくて、脇役も含めたタイトルなんだなと納得。主人公が、被害者について聞きに来てるのに、みんないい感じに利己的な発言や自分についての発言をしてて、主人公が途中で手帳を閉じるシーンが印象的。

あとやっぱり、スキャンダルが発覚した小出恵介がこの役柄っていうところが、もはや神の導きを感じる。

徐々に真相に近づいて行ってからの満島ひかりの演技はさすがで、独白の部分はめちゃくちゃ引き込まれたし、最後のセリフも寒気覚えた。

主人公である妻夫木はまともなのかなと思ってたら…。終盤で満島ひかりと対峙する時の目の窪みようがゾクッときた。

途中からの伏線回収は全く予想してなかった方向に何回も進むので観てて飽きない。少し色々詰め込みすぎな気もするけど。

 

想像してたより、終始重いわけではないけど、タイトルにある通り、人間てやっぱ愚かなんだなーと思わせてくれる作品で面白かった。なぜ新年早々こんな胸くそ悪いの観てしまったんだ。あと出てる女優さんがみんな可愛い。

原作も読んでみようと思います。

 

 

 

愚行録 [DVD]

愚行録 [DVD]

 

 

 

愚行録 (創元推理文庫)

愚行録 (創元推理文庫)

 

 

 

『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人

新年一冊目。

 

f:id:sunmontoc:20180101184312j:plain

 

『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人

圧巻のラスト20ページ! 
驚愕し、感動する!!! 
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の
碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。
外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる
碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を
通わせていく。実習を終え広島に帰った
碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。

彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか?

ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を
彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!? 
どんでん返しの伝道師が描く、
究極の恋愛×ミステリー!!
2度読み必至!

Amazonより)

 

知念実希人ベスト更新した。そして年間ベスト確実。

作者がこの物語を書いてくれたことに感謝するレベルでぶっちぎりで面白い。

自分が今までミステリーを読んできたことで多少身についた予測能力なんて、全く追いつかないレベルでストーリーが展開・収束され、読み飛ばすか引っかからないか自分が忘れたんだっけっていうような、些細な描写でさえ、終盤で大きな意味を持っってくる爽快さといったら。それぞれの描写の意図が一層深いところにある。

主題以外にも、主人公の家族とか、サブ的要素も読み応えがあって全くダレない。途中は思わず道尾秀介の『シャドウ』みたいな話かなって、錯覚させられた。他にもたくさん、何回も痛快に騙される。

あと知念実希人ファンなら、ニヤッとするような登場人物が最後に出てきてテンション上がる。

プロローグの内容が完全に忘れ、オーラスを迎えて、そうだこんな話だったってやっと思い出すくらいに内容が濃い。プロローグの印象が読むの二回目だと全く違うと思う。

個人的に、生きる意味の正解なんて分からなくても自分で決めればいいってところが、希望はいつでも自分で作るもんなんだなって、心に残った。

この物語に限ったことではないけど、最近色んな小説読んでいると、主人公の年代が近くて、感情移入しやすくなってきている。

 

本当にみんなに声を張り上げてオススメしたい作品。

タイトルもグッとくる。

 

 

崩れる脳を抱きしめて

崩れる脳を抱きしめて

 

 

 

 

2018年所信表明

あけましておめでとうございます。

 

読書ネタ以外はほぼ閲覧されてないことを良いことに、2017年の振り返りと2018年の目標。

 

去年は簿記2級は取れたけど、宅建の再チャレンジを途中で諦め、ただただ好きなことを楽しむにシフトチェンジしたので、その反省もこめて今年は、

 

①資格を取る

今年こそ宅建に合格する。合格するための勉強方法とかステップもしっかり考える。

あと宅建までは半年以上あるので、3月にTOEIC受ける。普通に英語話せるようになりたいなと思うけど、今の環境だと使う機会も、能力を維持する機会もあまりなさそうなので、とりあえず英語もう一回勉強する。

 

②生活に必要な勉強をして活用してみる

資格的な勉強の他に、世の中なんとなく知ってるだけのことが多すぎるので、ちゃんと理解してやってみたいことあれば行動に移す。

 

③文章力向上させる

一昨年まではただ読書とかしてるだけだったので、去年はブログ開設してレビュー書いてみたけど、やっぱり文章化する作業ってめっちゃ大事だし難しいなと実感。なので今年は、人にうまく伝えることを意識してブログ書くし文章について勉強する。

 

④読書の質をあげる

今年は結局過去最高の135冊読んだ。来年はさすがにこれ以上は読めないと思うので、てか読書だけじゃなく色々やりたいので、冊数気にせず今まで敬遠してたような本も読んで密度上げてく。あとKindle買ったのにほぼ読書に使ってないので、使い方見直す。

 

⑤貯金

さすがに30になるので…。なんかあっても困らない程度の最低限の貯金をする。

 

⑥減量

体重増加が止まらないので、体型改善する。。好きな服ずっと着てたい。すでに絶賛忘年会で増量中。

 

⑦迷わず買う

大好きな観音クリエイションに影響されてだけど、去年から生活の質上げてくれたり、自分の好きなものには割と出費しても生活あんまり困らなかったので、今年は更に加速させる。

 

kannnonn.com

 

⑧減煙

これからも毎日一箱捨てたらさすがに将来心配なので、いいVAPEと電子タバコ買って体に気遣おうかなと今は思ってる。禁煙は無理だから。

 

⑨仕事の仕方見直す

去年の途中から、「あれ、この仕事の仕方まずいな」とやっと気づいて年末焦ってたので、今年はもっと上手くやる。

 

 

て感じです。

とにかく得たモノと出すモノを上手く循環させていこうと思います。

今年もよろしくお願いします。

 

 


太華「顔面着地」 PV編(所信表明)

 

 

 

 

 

『たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に』佐藤青南

TSUTAYAで激推しされてたので。

 

f:id:sunmontoc:20171231162342j:plain

 

『たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に』 佐藤青南

「デートしてみよっか」恋をあきらめていた僕に奈々が言った言葉。それは上司のパワハラに悩みながら資格試験の勉強をしている冴えない僕の毎日を一変させた。奈々への恋心を確信した頃、ある同僚女性から好意を寄せられるようになり、何かが狂い始める。これは恋か罠か、それとも―ときめきと恐怖が交錯する一気読み必至、衝撃の結末が待つどんでん返し純愛ミステリー!書下ろし。(Amazonより)

 

最初はラブストーリー要素全開で、どこからミステリーになるんだろうと思ってたら、峰岸のサイコパスさがどんどん出てきて、読んでて思わず「怖っ…」ってなった。

でも単純にそれで終わる感じではないだろうから、ここからどんな展開になるんだろう、それぞれの真意があまりわからないなあって感じてたら、まさかの中盤で主人公死亡。

そこからの細かな描写までを含む伏線回収の見事さ、行動の背景にある入り組んだ人間関係など、すごく良い濃さの内容なのに、文体が読み易くてページがどんどん進む。

最後の終わり方も予想以上に儚くて綺麗だった。

あんまりミステリー読まない人も、抵抗なく読めると思うのでオススメ。

あとFUNKISTの謎の推され具合。

 

 

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)

 

 


FUNKIST「SHINE」Music Video (Full Size)