郡山ピークアクションで狐火を観た

2023年7月15日 PEAK ACTION presents “ACTION” 竹原ピストル/狐火

 

 

最後に観たのが東京にいた頃だから、8年ぶり以上の狐火のライブ。

期待もしてたし予想もしてたけど、それ以上に圧巻の1時間だった。

セットリストはこちら。

 

1.両目のダルマ

2.誰も立ったことない場所に

3.40才のリアル

4.ファミマよってから行こう

5.唾の味

6.肩車

7.各駅最終

8.マイハツルア

9.万引き商店

10.Future

11.金メッキ

 

初めて行くライブハウス、初めて観る竹原ピストルだったから確証はないけど、お客さんの多くは対バンの竹原ピストルを観に来たんじゃないかなと勝手に想像。

その中で想像していたより腰が低いラッパーが出てきて、自分と曲について丁寧に説明してからの『両目のダルマ』。優しさが真剣味を超えて狂気になるというか、空気が変わる瞬間っていうのはあのことだと思う。収録されている『ネオニート』は狐火の中でも特に好きなアルバムなので、この始まり方は嬉しくてニヤニヤが止まらなかった。

 

最近のセットリストを知らないから、リアルシリーズは何曲ぐらいやるんだろうと思ってたら、『40才のリアル』のみで現在進行形のリアルをラップしてた。リリックの内容もさることながら、ライブで聴くと音としての気持ちよさも増してた。いつでも進化していた。

 

『ファミマよってから行こう』のイントロで感じたけど、そこだけ切り取ったら会場がクスッとしちゃうようなサンプリングでも、その後のパフォーマンスとリリックでガラリと印象が変わってしまうのが狐火の凄さだと思う。笑えばいいのか、昂って声と腕を上げればいいのか、泣けばいいのか、いい意味で自分の感情をグジャグジャっとしてくれる。

 

大好きでずっと聴いていた『肩車』を生で聴けたのはめちゃくちゃ嬉しかった。お父さん素敵だし、こういうふうに自分の父親を切り取れる狐火も最高。

印象的だったのは、このあたりから竹原ピストルのTシャツを着た年上っぽい女性が涙を流していたこと。泣いていたのは一人だけではなかった。確かに届いているんだなと感じた。

 

じっくり時間をかけたMCからの『マイハツルア』。しかも留守番skitつき!このYouTubeを友達に教えてもらったことが狐火を知ったきっかけだった。狐火自身もめちゃくちゃ泣いてたけど、父への『肩車』、祖父への『各駅最終』、祖母への『マイハツルア』、この流れで一気にライブが大きく動いた。いつか家族曲のみのライブとかも観てみたい。

 

『Future』を演ったのはいろんなタイミングが重なったのかな。

 

そしてラストは秋に出る25枚目(!!)のアルバムからの『金メッキ』。全く止まらないし、このペースこそ狐火。

 

昔より格段にライブの強度みたいなものが上がってるのと同時に、本人も観客も感情の揺れ具合が大きくなっていた。迫力という一言ではまとめきれないものがどデカく心に刺さった。

自分の変化だけではなく、周囲の環境や人物の変化もしっかり切り取って描写できるからこそ、さらに10年経って50歳になった時のライブも楽しみでしょうがない。

 

 


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『ニューヨークの魔法のかかり方』岡田光世

 

『ニューヨークの魔法のかかり方』岡田光世

 

▶︎あらすじ

世界一孤独な街、ニューヨーク。ひとりぼっちでも、哀しみをたくさん抱えていても、なぜ、子どもみたいに人懐こくて、お節介なのだろう――。いつもユーモアを忘れず、あったかい。だから毎日が、なんだか楽しそう。息苦しい人間関係に疲れていたら、ニューヨークの日常をちょっとのぞいてみませんか。

今回はエッセイとともに初めて、海外でも日本でもすぐ使える、とっておきのコミュニケーション術を伝授!

世界は魔法でみちている。ほんの少しの勇気で、かくれた魔法は動きだす。(Amazonより)

 

▶︎感想

大好きなシリーズの8作目。

今回も(行ったことないけれども)ニューヨークの空気感と、ウィットや人間味に溢れたフレーズで楽しませてくれた。

 

Don’t mention it. (どういたしまして)

I’m still standing. (なんとかやっているよ)

It will come back to me tenfold. ((喜びは)十倍になって、自分に返ってくる)

I like it. (私、それ、好き)

 

『ビルからもらった指輪のあと』や『ミラノ、そして東京の、とけない魔法』など、素敵なエピソードがたくさんあったけど、今回一番心が掴まれたのが『ブロードウェイをめざす仲間たち』だった。

このエピソードだけ、人物たちの著者との関係性もわからないし、全体から浮いてる感じもする(過去のシリーズ作品で東日本大震災について触れていたものはあったけれども)。

でも、このエピソードが必要だったんだろうし、書かずにはいられなかったんだろう。今作で一番印象的な文章で最後が締められている。

 

”志帆はときどき、ふと思う。

妹と自分が助かったこともわからないまま、母は亡くなったのだろうか。

名のごとく、志を立て、帆を上げ、海を越えた向こう側で、仲間たちに支えられ、志帆は今、力強く生きている。”

 

次でいよいよシリーズラスト。最後まで楽しみきりたい。

 

 

 

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『くもをさがす』西加奈子

”私の胸は、本当に、本当に素敵だった。医療廃棄物として処理されたであろう私の胸と乳首に、私は今、心から謝罪したい。そして、感謝したい。”

 

『くもをさがす』西加奈子

▶︎あらすじ

カナダでがんになった。

あなたに、これを読んでほしいと思った。

これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー

祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション

『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。

カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。

切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。(Amazonより)

 

 

▶︎感想

ただただ圧倒された一度目。

内容や考えを体に染み込ませようとした二度目。

さらに違う部分に面白さや意図を感じ始めた三度目。

3回読んだけど読むたびに作品と著者の素晴らしさと底知れなさが増して、同じ時代に生きて読めたことに感謝するばかり。

 

カテゴライズするべきではないのだろうけど、単なる(この言葉も間違っているけれども)闘病記(共存の記録)に収まらず、考えや感情、状況とリンクする芸術作品の引用があり、それらが読み手の理解を助けてくれることもあるし、著者の深淵をさらに深まらせることもあって、読み物としての芸術性がとても高いと思った。

 

読み返すたびに、「くも」自身とそれが示すメッセージ、「もうひとりの自分」という乖離した存在の意味の変化など、たくさんの気づきがあって、今まであまりしてこなかった「同じ本を何度も体験することの良さ」に気づかせてくれた。これからの読書の仕方が変わりそう。

 

それに負けず、初体験の時の衝撃もものすごくて、個人的には両乳房切除手術の際の、「1977年生まれの、ニシカナコです」という一言から、乖離していた自分自身との一致から、爆発的に文章の面白みやエネルギッシュさが増すところがめちゃくちゃ好きだった。(それまでの文章が決して物足りないわけではないし、著者からあまり感じたことがなかった負の感情の吐露はすごく良かった。)

そこからが想像していた西加奈子というか、むしろ前半のがんとの共存の日々を経たからこそ、さらに人間としての広さと深さを増した文章は、とても貴重で贅沢なものだった。

そこには、がんやコロナを始め、現代ならではの様々な問題に対する著者の考えが散りばめられている。どのトピックにおいても感じるのは、著者の目に見える範囲での主観と、それには収まらない考え方があるというとても優れたバランス感覚と度量の大きさだ。

この感覚があるからこそ、他者にも、もうひとりの自分にも、まだ見ぬ「あなた」にも、大きく優しく声をかけてくれるのだろう。

そしてその優しさを持っていたとしても、独り占めしたい素晴らしく美しい瞬間があるというところも芯の強さと気高さを感じた。

 

”私は、私に起こった美しい瞬間を、私だけのものにして、死にたい。いつか棺を覗き込んでくれたあなたが、いつか私の訃報をどこかで知るあなたが、そして、私の死に全く関与せずにどこかで生きるあなたが知らない、私だけの美しさを孕んで、私は焼かれるのだ。

だから私の「全て」は、結局、私が決定したものである。

乳房を失った私の体が、今の私の全てであるように、欠けたもののある私の文章は、でも未完成ではない。欠けたものの全てとして、私の意思のもと、あなたに読まれるのを待っている。そこにいるあなた、今、間違いなく息をしている、生きているあなたに。それは、それだけで、目を見張るようなことだと、私は思う。”

 

3回読んだら少しは上手くまとめられるかなと思ったけど、読むたびに増えていく好きはまとめられるはずなんてなかったし、見返すだけでも語り合いたい部分で溢れている。

この作品に出会えて、読んでよかったと心底思わせてくれる今年ナンバーワンの傑作。

 

 

 

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『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 岸田奈美

わたしを家族を信じることを、自分で選んでいいのだ。逆もまた同じで、家族はわたしを信じることを、選んでくれたのだ。

 

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』岸田奈美

 

▶︎あらすじ

笑えて泣ける岸田家の日々のこと 

車いすユーザーの母、

ダウン症で知的障害のある弟、

ベンチャー起業家で急逝した父――

文筆家・岸田奈美がつづる、

「楽しい」や「悲しい」など一言では

説明ができない情報過多な日々の出来事。

笑えて泣けて、考えさせられて、

心がじんわりあたたかくなる自伝的エッセイです。(Amazonより)

 

 

▶︎感想

文才とはこのことを言うんだと思う。

西加奈子朝井リョウのエッセイ以来の衝撃。

2ヶ月足らずで3回も読んだ本は、これが初めて。

どんどんハマる文章のリズム感とスピード、「…」と「、」の抜群な使い方、それらにより増幅した面白さに笑いが抑えられない。

 

”わたしの乳は、どうやら、集団疎開していたようです。

いつの間に……?

開戦した覚えも……ないのに……?”

 

また、文中や解説でも語られているけど、忘れるからこそ書き留めるから、会話の描写やそこからのチョイスが秀逸。こんな切り取り方に憧れる。

 

”「2日目以降もチャーターできるようなので、そのまま観光を楽しんじゃってください」

楽しんじゃってください。飛びはねる語尾に、わたしまでつられて笑顔になった。”

 

そして、シンプルに文章の面白さを楽しむだけでも十分すぎるほど読む価値があるのに、それだけには収まらない、世間的にはハードに見えるバッググラウンドとそこから得てきた力強さが、さらにこの作品の魅力を倍増させてる。

 

たくさんの失敗と後悔を繰り返したからこそ、自分への優しさを見失う時もあったからこそ、強く優しくなれたんじゃないかと思う。

 

”さあ行け、良太。行ったことのない場所に、どんどん行け。助けられた分だけ、助け返せ。良太が歩いたその先に、障害のある人が生きやすい社会が、きっとある。知らんけど。”

 

”「車いす生活になるけど、命が助かってよかったわ」

母は笑っていた。あの時ホッとしたわたしを、わたしは殴ってやりたいと今でも思う。”

 

”家族の会話は、「楽しい」とか「悲しい」とか、一言じゃ説明できない情報量にあふれている。”

 

”重い人生だから、せめて足取りぐらいは軽くいたいんだ。知らんけど。”

 

”絶望は、他人の応援の言葉で、めったになくなるものではない。”

 

”いまだったら、エビチャーハン、頼んじゃうよ。なんならホタテも乗せちゃってよ。”

 

”そうして重なり合った複雑な味は何味でもなく、滋味、とでも表すんだろうか。”

 

”「好きな自分でいられる人との関係性だけを、大切にしていく」”

 

また、著者だけではなく、お母さんも弟さんもとても優しくて強くて、魅力に溢れている。一作だけ読んだことがある幡野広志さんももっと作品が読みたくなった。

 

間違いなく今年ベストに入る、「泣き笑い」っていう言葉がとても似合う傑作だった。

 

 

 

 

『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』 標野凪

”のろまに生きる”

 

『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』標野凪

 

▶︎あらすじ

住宅地の奥でひっそりと営業している、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ出したくなったお客さんが、ふらりと訪れる。SNSで発信される〈ていねいな暮らし〉に振り回されたり、仕事をひとりで抱え込み体調を崩したり……。目まぐるしく変わる世の中で疲れた体と強ばった心を、店主そろりの美味しい料理が優しくほぐします。今宵も「あなたの悩みに効くメニュー」をご用意してお待ちしております。心がくつろぐ連作短編集、開店。(Amazonより)

 

 

▶︎感想

初めて読む作家さんだったけど、温度が心地いい感じだった。

各篇に、現代ならではの悩みや歯痒さを伴ったエピソードがあり、万事解決ではないけど、心が軽くなったり少しの糸口になるようなメニューと、上手いんだかどうか絶妙な線の店主からのプレゼントが、苦笑い込みであったかい気持ちにさせてくれる。

そして、この素敵なもてなしをしてくれる店主にも同じように苦さを含んだ過去があり、その変遷も気になるところ。

続編も読んでみたくなる作品。

 

 

 

『月の立つ林で』青山美智子

 

”悩んでるときって、自分を見失ったりするじゃない。私がいるよっていうのは、あなたがいるよって伝えるのと同じことだと思うの。彼女を想ってる私の存在が、彼女の存在の証しになるんじゃないかなって”

 

『月の立つ林で』青山美智子

▶︎あらすじ

長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家――。

つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。

月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの想いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。

最後に仕掛けられた驚きの事実と

読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、

心震える傑作小説。(Amazonより)

 

 

▶︎感想

作品読むたびに思うけど、繋がり方と収束の仕方が本当に見事としか言いようがない。

 

新月」と「ポッドキャスト」という要素を中心に、近づいたり遠ざかったりしながら織りなす人間模様の描写が素敵だった。

 

深夜ラジオのような時間の共有とはまた違った、わずか10分のポッドキャストで繋がるというのが新感覚だったしとても現代的。

 

なんとなくこういうテーマだと、各エピソードに合ったさまざまな形の月を出してきそうな気がするんだけど、徹底して新月という一つの形でそれぞれの始まりを描き切るところに、物語の力強さと作者からのメッセージを感じた。

 

またこれは個人的な意見だけど、あまりにも帯で伏線回収のすごさみたいなものが書かれていると、余計にハードルを高くしてしまうので、こういう物語こそ静かに穏やかに、自分の心のうちだけでワクワクしながら読みたいなって思う。もちろんそこを抜きにしても、気づいていない仕掛けや繋がりがあるんじゃないかと読んだ後も楽しさが残る作品だった。

 

ストーリーも表紙のデザインも、全てが優しさに満ち溢れている作品だった。

 

 

 

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『はるか、ブレーメン』重松清

”幸せに生きた人生と、幸せに締めくくられた人生とは違うんだ”

 

『はるか、ブレーメン重松清

▶︎あらすじ

私を捨てた“お母さん”の走馬灯には、何が映っているのだろう。

人生の思い出をめぐる、謎めいた旅行会社に誘われた16歳の少女のひと夏の物語。

小川春香、16歳。3歳で母に捨てられた彼女は、育ての親である祖母も亡くし、正真正銘のひとりぼっちだ。そんな彼女が出会ったのが走馬灯を描く旅をアテンドする〈ブレーメン・ツアーズ〉。お調子者の幼馴染、ナンユウととも手伝うことに。認知症を患った老婦人が、息子に絶対に言えなかった秘密。ナンユウの父が秘めていた、早世した息子への思い。様々な思い出を見た彼女は。人の記憶の奥深さを知る。そんな折、顔も覚えていない母から「会いたい」と連絡が来るのだが……。

私たちの仕事は走馬灯の絵を描くことだ。

それは、人生の最後に感じるなつかしさを決めるということでもある。(Amazonより)

 

 

▶︎感想

昔から大好きな作者に、ここに来てこんなに喰らわさられることがあるんだと驚いたし、幸せだった。

現実からはみ出した能力が大事な要素の一つになっているんだけど、そのある種のリアリティのなさを感じさせないほど、今を生きて死に向かってゆくなかでの大切な言葉がたくさん詰まっていた。

「結果よりも過程が大事」とか、「悔いのないように生きる」とか、よく聞くし大事なことだとは思うけれど、それとはまた別物の、「死ぬ瞬間をどういう気持ちで迎えられるか」という、新たな観点をもらえたし、その点においては苦しみと喜びの多寡はあまり重要でないかもしれないと教えてくれた。

 

”大切な思い出は、正しい思い出とはかぎらないからです”

 

”幸せな思い出と、幸せそうな思い出というのは、違うんだ”

 

”楽しい思い出が残ってるからつらくなることも、人間にはたくさんある”

 

”つらい思い出のどこが悪いんだ?”

 

”悔いのない人生というのは、自分は一度も間違ってこなかったという、ずいぶんずうずうしい人生かもしれないぞ”

 

”悔やみつづけても間違いは消えない。でも、間違えたことに気づかないと、悔やむことすらできないんだよ”

 

”恨んでた人はいるけど、いま恨んでいる人はいない”

 

大上段に構えてではなくて、あくまで自然な会話の中で気づかせてくれる投げかけがたくさんあって、中盤は思わずため息が漏れるほどだった。

 

日々の過ごし方や残していけるものに目を奪われがちになってしまうけれど、間違いも失敗も後悔も、マイナスがあるからこそのプラスとかではなく、返上しなくてもマイナスも含め全てが大切で不可欠な要素であり、全てを抱いて死を迎えるのだと、肩の力が少し抜けて、焦りも減った気がする。

 

あと、主人公親子の病室での会話もすごくいい展開で、お互いの心が開いていく様子が目に浮かぶようだった。

 

ふとした時に読み直して、大切なことをまた教えてもらいたい。

 

 

 

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